The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

May 22, 2008 Vol. 358 No. 21

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

大規模な社会的ネットワークにおける喫煙の集団力学
The Collective Dynamics of Smoking in a Large Social Network

N.A. Christakis and J.H. Fowler

背景

米国における喫煙率は,この 30 年で大幅に減少している.われわれは,喫煙行動が人から人へと伝播する程度と,広く結び付いた人々のグループが一緒に禁煙する程度について検討した.

方 法

1971~2003 年にフラミンガム心臓研究(Framingham Heart Study)の一環として繰り返し評価を受けた 12,067 人から成る,緊密に相互に結び付いた社会的ネットワークを調査した.ネットワーク解析法と経時的統計モデルを用いた.

結 果

ネットワーク内には判別可能な喫煙者・非喫煙者のクラスターが存在し,クラスターの分離(被験者 ― 接点のある人)は 3 段階に及んだ.集団全体で喫煙が減少したにもかかわらず,喫煙者クラスターの規模はいずれの時点でも変わらなかったことから,各グループが全体で一緒に禁煙したことが示唆された.喫煙者は次第に社会的ネットワークの周辺部でみられるようになった.配偶者の禁煙により喫煙の確率は 67%低下した(95%信頼区間 [CI] 59~73).兄弟の禁煙により喫煙の確率は 25%低下した(95% CI 14~35).友人の禁煙により喫煙の確率は 36%低下した(95% CI 12~55).小企業で働く人は,同僚の禁煙により喫煙の確率が 34%低下した(95% CI 5~56).高学歴の友人同士では,低学歴の友人同士に比べ,互いに与える影響が大きかった.地理的に近接する隣人同士では,このような影響は観察されなかった.

結 論

ネットワーク現象は,禁煙に関連すると考えられる.喫煙行動は,近接・遠隔双方の社会的つながりを通して伝播する.相互に結び付いた人々のグループは一緒に禁煙し,喫煙者は次第に社会の周辺部に押しやられる.これらの知見は,節煙と禁煙を進めるための臨床的・公衆衛生的介入に影響を与える.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 2249 - 58. )