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June 19, 2008 Vol. 358 No. 25

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重症心不全に対するドロネダロン療法後の 死亡率上昇
Increased Mortality after Dronedarone Therapy for Severe Heart Failure

L. Kober and Others

背景

ドロネダロン(dronedarone)は,アミオダロンと類似した電気生理学的特性を有する新しい抗不整脈薬であるが,ヨウ素を含まないためヨウ素に関連した副作用を引き起こさない.このため,心不全患者の治療に有用である可能性がある.

方 法

二重盲検法で行われた多施設共同試験において,症候性心不全および重度の左室収縮機能不全で入院した患者 1,000 例を,ドロネダロン 400 mg を 1 日 2 回投与する群と,プラセボを投与する群のいずれかに無作為に割り付ける計画を立てた.主要エンドポイントは,全死因死亡と心不全による入院の複合とした.

結 果

この試験は,627 例(ドロネダロン群 310 例,プラセボ群 317 例)を組み入れた時点で,データ・安全性モニタリング委員会の勧告により,事前に定められた試験中止に関する規定に従い安全上の理由で早期に中止された.中央値 2 ヵ月の追跡調査期間中に,ドロネダロン群の 25 例(8.1%)とプラセボ群の 12 例(3.8%)が死亡した(ドロネダロン群のハザード比 2.13,95%信頼区間 [CI] 1.07~4.25,P=0.03).この超過死亡は主に,心不全の悪化に関連したものであった(ドロネダロン群 10 例,プラセボ群 2 例が該当).主要エンドポイントに両群間で有意差はみられず,ドロネダロン群 53 件(17.1%),プラセボ群 40 件(12.6%)であった(ハザード比 1.38,95% CI 0.92~2.09,P=0.12).重篤な有害事象として,クレアチニン濃度の上昇がドロネダロン群でプラセボ群よりも多く報告された.

結 論

重症心不全および左室収縮機能不全を有する患者において,ドロネダロンによる治療は,心不全の悪化に関連した早期死亡率の上昇に関連していた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00543699)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 2678 - 87. )