筋強直性ジストロフィー 1 型における心電図異常と突然死
Electrocardiographic Abnormalities and Sudden Death in Myotonic Dystrophy Type 1
W.J. Groh and Others
神経筋疾患である筋強直性ジストロフィー 1 型では,心伝導障害の結果として突然死が起こる場合がある.突然死のリスクの決定因子は依然として不明である.
遺伝学的に確認された筋強直性ジストロフィー 1 型の成人患者 406 例を対象として,心電図が突然死の予測に有効かどうかを評価した.心電図で以下の特徴のうち 1 つ以上がみられた場合に,患者に重度の異常があるとした;洞性以外のリズム,PR 間隔が 240 msec 以上,QRS 幅が 120 msec 以上,第 2 度または第 3 度の房室ブロック.
登録時の心電図検査で重度の異常があった患者は,重度の異常がなかった患者に比べ,年齢が高く,骨格筋の障害が重度であり,心不全・左室収縮機能障害・心房性頻脈性不整脈を呈する傾向にあった.こうした患者は,追跡調査期間中にペースメーカーまたは植込み型除細動器を使用する傾向が高かった.平均 5.7 年の追跡調査期間中に 81 例が死亡した.そのうち 27 例が突然死で,32 例は進行性の神経筋疾患による呼吸不全が原因の死亡,5 例は心臓が原因の非突然死,17 例はその他の原因による死亡であった.突然死した患者で,虚脱後のリズムが評価された 17 例のうち,9 例に心室性頻脈性不整脈が観察された.重度の心電図異常(相対リスク 3.30,95%信頼区間 [CI] 1.24~8.78)と,心房性頻脈性不整脈の臨床診断(相対リスク 5.18,95% CI 2.28~11.77)は,突然死の独立した危険因子であった.
筋強直性ジストロフィー 1 型の成人患者は,不整脈と突然死のリスクが高い.重度の心電図異常と心房性頻脈性不整脈の診断により,突然死が予測できる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00622453)