The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 19, 2008 Vol. 358 No. 25

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

筋強直性ジストロフィー 1 型における心電図異常と突然死
Electrocardiographic Abnormalities and Sudden Death in Myotonic Dystrophy Type 1

W.J. Groh and Others

背景

神経筋疾患である筋強直性ジストロフィー 1 型では,心伝導障害の結果として突然死が起こる場合がある.突然死のリスクの決定因子は依然として不明である.

方 法

遺伝学的に確認された筋強直性ジストロフィー 1 型の成人患者 406 例を対象として,心電図が突然死の予測に有効かどうかを評価した.心電図で以下の特徴のうち 1 つ以上がみられた場合に,患者に重度の異常があるとした;洞性以外のリズム,PR 間隔が 240 msec 以上,QRS 幅が 120 msec 以上,第 2 度または第 3 度の房室ブロック.

結 果

登録時の心電図検査で重度の異常があった患者は,重度の異常がなかった患者に比べ,年齢が高く,骨格筋の障害が重度であり,心不全・左室収縮機能障害・心房性頻脈性不整脈を呈する傾向にあった.こうした患者は,追跡調査期間中にペースメーカーまたは植込み型除細動器を使用する傾向が高かった.平均 5.7 年の追跡調査期間中に 81 例が死亡した.そのうち 27 例が突然死で,32 例は進行性の神経筋疾患による呼吸不全が原因の死亡,5 例は心臓が原因の非突然死,17 例はその他の原因による死亡であった.突然死した患者で,虚脱後のリズムが評価された 17 例のうち,9 例に心室性頻脈性不整脈が観察された.重度の心電図異常(相対リスク 3.30,95%信頼区間 [CI] 1.24~8.78)と,心房性頻脈性不整脈の臨床診断(相対リスク 5.18,95% CI 2.28~11.77)は,突然死の独立した危険因子であった.

結 論

筋強直性ジストロフィー 1 型の成人患者は,不整脈と突然死のリスクが高い.重度の心電図異常と心房性頻脈性不整脈の診断により,突然死が予測できる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00622453)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 2688 - 97. )