人工股関節置換術後の血栓予防におけるリバーロキサバンとエノキサパリンとの比較
Rivaroxaban versus Enoxaparin for Thromboprophylaxis after Hip Arthroplasty
B.I. Eriksson and Others
この第 3 相試験では,人工股関節全置換術を施行する患者を対象に,長期の血栓予防のための経口直接作用型第 Xa 因子阻害薬リバーロキサバン(rivaroxaban)とエノキサパリン(enoxaparin)の有効性と安全性を比較した.
無作為化二重盲検試験にて,患者 4,541 例を,リバーロキサバン 10 mg を 1 日 1 回経口投与する群(術後に投与開始)と,エノキサパリン 40 mg を 1 日 1 回皮下投与する群(手術前日の夕方に投与開始)のいずれかに割り付け,プラセボを錠剤または注射で追加投与した.有効性の主要転帰は,深部静脈血栓症(症候性のもの,無症候の場合は両側静脈造影により検出されたもの),非致死的肺塞栓症,36 日目(30~42 日)の時点での全死因死亡の複合とした.主な有効性の副次的転帰は,主要静脈血栓塞栓症(近位深部静脈血栓症,非致死的肺塞栓症,静脈血栓塞栓症による死亡)とした.安全性の主要評価項目は,重大な出血とした.
計 3,153 例を優位性解析(1,388 例を除外)に,4,433 例を安全性解析(108 例を除外)に組み入れた.有効性の主要転帰は,リバーロキサバン群 1,595 例中 18 例(1.1%)と,エノキサパリン群 1,558 例中 58 例(3.7%)に発生した(絶対リスク減少率 2.6%,95%信頼区間 [CI] 1.5~3.7,P<0.001).主要静脈血栓塞栓症は,リバーロキサバン群 1,686 例中 4 例(0.2%)と,エノキサパリン群 1,678 例中 33 例(2.0%)に発生した(絶対リスク減少率 1.7%,95% CI 1.0~2.5,P<0.001).重大な出血は,リバーロキサバン群 2,209 例中 6 例(0.3%)と,エノキサパリン群 2,224 例中 2 例(0.1%)に発生した(P=0.18).
待機的人工股関節全置換術を受ける患者において,リバーロキサバン 10 mg の 1 日 1 回経口投与は,エノキサパリン 40 mg の 1 日 1 回皮下投与に比べて,長期の血栓予防において有意に有効であった.両剤の安全性プロファイルは同等であった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00329628)