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June 26, 2008 Vol. 358 No. 26

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人工膝関節全置換術後の血栓予防におけるリバロキサバンとエノキサパリンの比較
Rivaroxaban vs. Enoxaparin for Thromboprophylaxis after Total Knee Arthroplasty

M.R. Lassen and Others

背景

人工膝関節全置換術後の静脈血栓症の予防において,経口直接作用型第 Xa 因子阻害薬であるリバロキサバン(rivaroxaban)の有効性を検討した.

方 法

この無作為化二重盲検臨床試験では,人工膝関節全置換術を施行する患者 2,531 例を,術後 6~8 時間以降にリバロキサバン 10 mg を 1 日 1 回経口投与する群と,エノキサパリン(enoxaparin)40mg を 1 日 1 回皮下投与する群のいずれかに割り付けた.有効性の主要転帰は,深部静脈血栓症,非致死的肺塞栓症,術後 13~17 日以内の全死因死亡とした.有効性の副次的転帰は,主要静脈血栓塞栓症(近位深部静脈血栓症,非致死的肺塞栓症,静脈血栓塞栓症に伴う死亡など),および症候性静脈血栓塞栓症などとした.安全性の主要転帰は重大な出血とした.

結 果

有効性の主要転帰は,リバロキサバン群 824 例中 79 例(9.6%),エノキサパリン群 878 例中 166 例(18.9%)で発生した(絶対リスク減少率 9.2 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 5.9~12.4,P<0.001).主要静脈血栓塞栓症は,リバロキサバン群 908 例中 9 例(1.0%)で発生したのに対し,エノキサパリン群では 925 例中 24 例(2.6%)で発生した(絶対リスク減少率 1.6 パーセントポイント,95% CI 0.4~2.8,P=0.01).症候性イベントの発生頻度は,リバロキサバン群のほうがエノキサパリン群よりも低かった(P=0.005).重大な出血は,リバロキサバン群の 0.6%,エノキサパリン群の 0.5%で発生した.薬剤に関連した有害事象の発生率は,リバロキサバン群 12.0%,エノキサパリン群 13.0%で,主に消化器症状であった.

結 論

リバロキサバンは,人工膝関節全置換術後の血栓予防薬としてエノキサパリンよりも優れており,出血の発生率は同程度であった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00361894)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 2776 - 86. )