September 11, 2008 Vol. 359 No. 11
変形性膝関節症に対する関節鏡視下手術の無作為化試験
A Randomized Trial of Arthroscopic Surgery for Osteoarthritis of the Knee
A. Kirkley and Others
変形性膝関節症の治療における関節鏡視下手術の有効性は明らかにされていない.
中等度~重度の変形性膝関節症患者を対象として,関節鏡視下手術の単一施設無作為化比較試験を行った.患者を,至適な理学療法+薬物療法に関節鏡視下での洗浄とデブリドマンを併用する群と,理学療法+薬物療法のみを行う群に無作為に割り付けた.主要転帰は,追跡調査 2 年の時点での西オンタリオ・マクマスター大学変形性関節症指数(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index:WOMAC)の総スコア(0~2,400 点,スコアが高いほど重症)とした.副次的転帰は,36 項目の健康調査票(SF-36)の身体的健康度要約尺度(0~100 点,スコアが高いほど QOL が良好)などとした.
手術群の 92 例のうち,6 例は手術を受けなかった.対照群の 86 例は,全例が理学療法+薬物療法のみを受けた.2 年後の WOMAC スコアの平均(±SD)は,手術群では 874±624 点であったのに対し,対照群では 897±583 点であった(絶対差 [手術群スコアから対照群スコアを引く] -23±605,95%信頼区間 [CI] -208~161,ベースラインのスコアと重症度による補正後の P=0.22).SF-36 の身体的健康度要約尺度は,手術群 37.0±11.4 点,対照群 37.2±10.6 点であった(絶対差 -0.2±11.1,95% CI -3.6~3.2,P=0.93).中間診察時の WOMAC スコアの解析,およびほかの副次的転帰の解析でも,手術の優位性は示されなかった.
変形性膝関節症に対して,関節鏡視下手術を至適な理学療法+薬物療法に併用しても,さらなる利益は得られない.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00158431)