September 11, 2008 Vol. 359 No. 11
中高年者における膝 MRI での偶発的な半月板所見
Incidental Meniscal Findings on Knee MRI in Middle-Aged and Elderly Persons
M. Englund and Others
膝の MRI 検査は,原因不明の膝症状を呈する患者に施行されることが多い.半月板断裂が認められた場合は,一般に症状はそれに起因するとされる.しかし,一般集団における半月板損傷の有病率や,半月板断裂と膝症状,膝関節症の X 線所見との関連に関するデータは少ない.
マサチューセッツ州フラミンガムの住民を対象に,国勢調査データと,無作為に発生させた番号に電話する RDD 方式により被験者を選んだ.被験者は 50~90 歳で歩行可能であり,膝やその他の関節の症状をもとには選ばなかった.1.5 テスラの MRI で撮影した 991 例(57%が女性)の右膝半月板の完全性を検討した.右膝に関する症状は質問票をもとに評価した.
MRI で検出された右膝の半月板断裂や半月板損傷(meniscal destruction)の有病率は,50~59 歳の女性で 19%(95%信頼区間 [CI] 15~24),70~90 歳の男性で 56%(95% CI 46~66)と幅があった.膝の手術を受けたことのある被験者を除外しても,その割合に顕著な低下はみられなかった.膝関節症が X 線所見で認められた被験者(Kellgren–Lawrence グレード 2 以上.範囲は 0~4 で,値が高いほど膝関節症所見が明確であることを示す)における半月板断裂の有病率は,膝の痛み,違和感,こわばりをほぼ毎日感じている被験者で 63%,これらの症状のない被験者で 60%であった.膝関節症の X 線所見が認められなかった被験者における有病率は,膝の痛みなどの症状のある患者で 32%,症状のない患者で 23%であった.膝半月板の断裂が認められた被験者の 61%は,前月の時点で痛み,違和感,こわばりを感じることはなかった.
膝 MRI による半月板の偶発的所見は,一般集団で高頻度にみられ,高齢になるほどその数は増加する.