ザンビア共和国の小児の HIV 非感染生存率に対する突然の早期離乳の影響
Effects of Early, Abrupt Weaning on HIV-free Survival of Children in Zambia
L. Kuhn and Others
資源が乏しい環境では,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した女性は早期に授乳をやめるよう多くのプログラムで推奨されている.われわれは,無作為化試験で生後 4 ヵ月で突然離乳する方法と標準的な授乳を行う方法を比較し,どちらの方法が小児の HIV 非感染生存率に対して本当に利益があるかを検討した.
ザンビア共和国のルサカで,HIV 感染女性 958 例およびその乳児を登録した.すべての女性は母乳のみで 4 ヵ月間授乳する計画とした.そのうち 481 例を 4 ヵ月で突然離乳することを勧めるカウンセリングプログラムに割り付け,477 例を母親が希望する限り授乳の継続を促すプログラムに割り付けた.主要転帰は,24 ヵ月までの小児の HIV 感染あるいは死亡とした.
介入群では,母親の 69.0%が 5 ヵ月以内に授乳を中止し,そのうちの 68.8%は 2 日以内に離乳を完了したと報告した.対照群の授乳期間の中央値は 16 ヵ月であった.コホート全体では,小児の HIV 非感染生存率に群間で有意差は認められず,HIV に感染せずに 24 ヵ月生存したのは,介入群で 68.4%,対照群で 64.0%であった(P=0.13).4 ヵ月の時点で授乳が継続され,かつ HIV に感染していなかった乳児では,24 ヵ月の時点の HIV 非感染生存率に群間で有意差は認められなかった(介入群 83.9%,対照群 80.7%,P=0.27).生後 4 ヵ月までに HIV に感染した児では,介入群であった場合,対照群と比較して 24 ヵ月以内の死亡率が高かった(73.6% 対 54.8%,P=0.007).
ザンビア共和国ルサカのような資源が乏しい環境では,HIV に感染した女性が授乳を中止しても,HIV に感染した母親から生まれた小児の HIV 非感染生存率は改善せず,また乳児が HIV に感染した場合に有害な影響がある.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00310726)
本論文(10.1056/NEJMoa073788)は,2008 年 6 月 4 日に www.nejm.org で発表された.