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October 30, 2008 Vol. 359 No. 18

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極低出生体重児に対する早期インスリン療法   
Early Insulin Therapy in Very-Low-Birth-Weight Infants

K. Beardsall and Others

背景

集中治療室で治療を受けている成人および小児に関する研究において,インスリン療法と血糖コントロールは,生存期間に影響を及ぼす可能性が示されている.また,極低出生体重児における高血糖も,発病や死亡との関連が示されている.この多国間無作為化比較試験の目的は,極低出生体重児に早期インスリン補充療法を行うことで,高血糖の発現が減少し,転帰に影響を及ぼすかどうかを検討することである.

方 法

この多施設共同臨床試験では,生後 1 日目から 7 日目まで,乳児 195 例を 0.05 U/kg/時のインスリンを 20%ブドウ糖液とともに静脈内持続投与する群に,194 例を標準的な新生児ケアを行う群に割り付けた.血糖コントロールの有効性は,持続血糖モニタリングにより評価した.主要転帰は,出産予定日における死亡率とした.主要転帰の無益性と潜在的有害性に関する懸念のため,試験は早期に中止された.

結 果

早期インスリン群の乳児は,対照群の乳児に比べて,平均(±SD)血糖値が低かった(6.2±1.4 mmol/L 対 6.7±2.2 mmol/L [112±25 mg/dL 対 121±40 mg/dL],P=0.007).生後第 1 週で 10%を超える高血糖を示した乳児の数は,早期インスリン群のほうが少なかった(21% 対 33%,P=0.008).早期インスリン群のほうが,第 1 週目の炭水化物の投与量が有意に多く(51±13 kcal/kg/日 対 43±10 kcal/kg/日,P<0.001),体重減少が有意に少なかった(体重変化に対する SD スコア -0.55±0.52 対 -0.70±0.47,P=0.006).早期インスリン群では,低血糖エピソード(2.6 mmol/L [47 mg/dL] 未満の血糖値が 1 時間を超えて持続と定義)の発現がより多く(29%に対し,対照群 17%,P=0.005),低血糖は,出生体重が 1 kg を超える乳児で顕著に増加した.主要転帰(出産予定日における死亡率)と副次的転帰(発病)に関して,intention-to-treat 解析で両群に差はなかった.intention-to-treat 解析による 28 日目の死亡率は,早期インスリン群のほうが対照群より高かった(P=0.04).

結 論

極低出生体重児に早期インスリン療法を行っても,臨床上の有益性はほとんど得られなかった.早期インスリン療法により,高血糖は減少するが,低血糖が増加する可能性がある.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN78428828)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 1873 - 84. )