October 30, 2008 Vol. 359 No. 18
米国における病院医療に対する患者の認識
Patients' Perception of Hospital Care in the United States
A.K. Jha and Others
患者が,受けたケア,とくに病院で受けたケアについてどう感じているかは,あまり明らかにされていない.病院利用者による医療機関および医療システム評価(Hospital Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems:HCAHPS)の調査データは,米国の病院における患者の経験の全体像を映し出している.
患者が経験したさまざまな項目について病院の成績を評価した.患者の経験内容を高めると考えられる主な病院の特徴(患者/日あたりの看護師比率が高いこと,営利目的であること,教育病院でないことなど)が,患者のよりよい経験と関連しているかどうかを検討した.また,HCAHPS 調査における病院の成績が,臨床ケアの質の指標に基づく成績と関連しているかどうかについても検討した.
ケアに対する満足度は中程度に高く(ケアを受けた患者の平均 67.4%がその病院を「ぜひ勧める」と回答したなど),患者の経験の指標間での相関も高かった(Cronbach の α 係数 0.94).患者/日あたりの看護師の比率が最低四分位群であった病院と比較して,最高四分位群であった病院は,HCAHPS 調査における成績が若干優れていた(たとえば,その病院を「ぜひ勧める」と回答した患者は 63.5% 対 70.2%,P<0.001).患者の満足度が高い病院では,調査したすべての症状について,提供された臨床ケアの質がやや高かった.たとえば,HCAHPS の評価で最高四分位群であった病院の成績は,最低四分位群であった病院と比較して,急性心筋梗塞(適切なケアを施すべき機会に実際に適切なケアが施された割合は,未補正の解析で 95.8% 対 93.1%,P<0.001)と肺炎(未補正の解析で 90.5% 対 88.6%,P<0.001)の患者に対するケアにおいて優れていた.
米国の病院における患者の経験のこのような全体像から,改善を要する項目内容に関する洞察が得られた.また,看護師の高い配置率につながる病院の特徴が,患者のよりよい経験と関連している可能性が示唆され,病院は質の高い臨床ケアを提供できると同時に,患者によい経験を与えられるというエビデンスが示された.