December 18, 2008 Vol. 359 No. 25
汚染ヘパリンに関連した有害反応の集団発生
Outbreak of Adverse Reactions Associated with Contaminated Heparin
D.B. Blossom and Others
2008 年 1 月に,米国疾病対策予防センター(CDC)は,最初に 1 ヵ所の血液透析施設で発生した重度の有害反応に関する全米調査を開始した.予備的調査の結果から,ヘパリンがこの有害反応の原因である可能性が示唆された.
2007 年 11 月 1 日以降にアレルギー反応と一致する徴候および症状を示した患者を対象に,臨床症状と受けた医療処置に関するデータを収集した.有害反応が報告された 21 ヵ所の透析施設と,報告されなかった 23 施設を施設レベルの危険因子を同定する症例対照研究に組み入れた.有害反応が報告された施設から入手した未開封のヘパリンバイアルに汚染物質検査を実施した.
2007 年 11 月 19 日~2008 年 1 月 31 日のあいだに,13 州の患者 113 例で,ヘパリンと関連する有害反応が計 152 件確認された.バクスターヘルスケア(Baxter Healthcare)社製のヘパリンの使用が,有害反応ともっとも強く関連した因子であった(使用は症例施設で 100.0% 対 対照施設で 4.3%,P<0.001).有害反応が報告された施設から提供されたバクスター社製のヘパリンバイアルからは不純物が検出され,過硫酸化コンドロイチン硫酸(oversulfated chondroitin sulfate:OSCS)と同定された.OSCS 汚染ヘパリンに対する有害反応の多くは,投与後 30 分以内に生じる低血圧,悪心,呼吸困難を特徴とした.ヘパリンのロット情報が得られた 130 件のうち,128 件(98.5%)が OSCS 汚染ヘパリンを保有する施設内で発生した.投与されたヘパリンのロット番号が判明している 54 件のうち,52 件(96.3%)では OSCS 汚染ヘパリンの投与後に有害反応が生じた.
この全米規模の集団発生において,OSCS 汚染ヘパリンは有害反応と疫学的に関連していた.多くの症例で報告された臨床所見は,OSCS によるヘパリン汚染が集団発生の原因であるという結論をさらに裏付けるものである.
本論文(10.1056/NEJMoa0806450)は,2008 年 12 月 3 日に www.nejm.org で発表された.