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July 24, 2008 Vol. 359 No. 4

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進行性肝細胞癌に対するソラフェニブ
Sorafenib in Advanced Hepatocellular Carcinoma

J.M. Llovet and Others

背景

進行性肝細胞癌患者に対する有効な全身療法は存在しない.血管内皮増殖因子受容体,血小板由来増殖因子受容体,Raf に対する経口マルチキナーゼ阻害薬であるソラフェニブ(sorafenib)は,肝細胞癌に有効である可能性が予備試験で示されている.

方 法

多施設共同第 3 相二重盲検プラセボ対照試験において,全身療法を受けていない進行性肝細胞癌患者 602 例を,ソラフェニブ群(400 mg を 1 日 2 回投与)とプラセボ群のいずれかに無作為に割り付けた.主要転帰は,全生存率と症状進行までの期間とした.副次的転帰は,放射線学上の進行までの期間と安全性とした.

結 果

予定されていた 2 回目の中間解析の時点で 321 例が死亡し,試験は中止された.全生存期間の中央値は,ソラフェニブ群で 10.7 ヵ月,プラセボ群で 7.9 ヵ月であった(ソラフェニブ群のハザード比 0.69,95%信頼区間 0.55~0.87,P<0.001).症状進行までの期間の中央値に,群間で有意差はみられなかった(それぞれ 4.1 ヵ月 対 4.9 ヵ月,P=0.77).放射線学上の進行までの期間の中央値は,ソラフェニブ群で 5.5 ヵ月,プラセボ群で 2.8 ヵ月であった(P<0.001).ソラフェニブ群の 7 例(2%)とプラセボ群の 2 例(1%)で部分寛解を認めたが,完全寛解を示した患者はいなかった.下痢,体重減少,手足の皮膚反応,低リン酸血症は,ソラフェニブ群でより多くみられた.

結 論

進行性肝細胞癌患者では,生存期間や放射線学上の進行までの期間の中央値は,プラセボ群と比べて,ソラフェニブ群のほうが約 3 ヵ月長かった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00105443)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 378 - 90. )