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January 29, 2009 Vol. 360 No. 5

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IKZF1 の欠失と急性リンパ芽球性白血病の予後
Deletion of IKZF1 and Prognosis in Acute Lymphoblastic Leukemia

C.G. Mullighan and Others

背景

小児の急性リンパ芽球性白血病(ALL)では,現代の最善の治療を行っても,20%は再発する.最近のゲノムワイド解析では,ALL において DNA コピー数異常が高頻度に同定されたが,このような異常が予後に与える影響については明らかにされていない.

方 法

一塩基多型マイクロアレイ,転写プロファイリング,診断時に採取された検体の配列再決定により確定診断された,高リスク B 前駆細胞性 ALL の小児 221 例から成るコホート集団について検討した.リスクがきわめて高いことが知られている ALL の亜型(BCR-ABL1 陽性 ALL,低二倍体 ALL,乳児 ALL など)の患児はコホート集団から除外した.コピー数異常が転帰不良の予測因子として同定されたため,B 前駆細胞性 ALL の患児 258 例から成る独立した検証コホートで検証した.

結 果

50 を超えるコピー数異常が同定された.コピー数異常は,B 細胞の発生制御因子をコードする遺伝子で高頻度(最初のコホート集団の患児の 66.8%)に認められた.患児の 31.7%でPAX5,28.6%でIKZF1 が関与していた.コピー数異常をもとに,独立した検証コホートで検証した転帰不良の予測因子を同定した.この予測因子は,リンパ系転写因子 IKAROS をコードする遺伝子である,IKZF1 の変異と強く関連していた.転帰不良の患児集団における遺伝子発現プロファイルから,造血幹細胞遺伝子の発現増加と B 細胞系列遺伝子の発現低下が明らかになったが,この知見は,IKZF1 欠失が高頻度に認められるもう一つの高リスク ALL 亜型である,BCR-ABL1 陽性 ALL の特徴と類似していた.

結 論

IKZF1 の遺伝子変化は,B 前駆細胞性 ALL のきわめて不良な転帰と関連している.

本論文(10.1056/NEJMoa0808253)は,2009 年 1 月 7 日に NEJM.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 470 - 80. )