The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

Share

RSS

日本語アブストラクト

July 1, 2010 Vol. 363 No. 1

ヒトパピローマウイルスと中咽頭癌患者の生存率
Human Papillomavirus and Survival of Patients with Oropharyngeal Cancer

K.K. Ang and Others

背景

ヒトパピローマウイルス(HPV)に起因する中咽頭扁平上皮癌は,良好な生存率と関連することが示されているが,腫瘍の HPV の状態の独立した予後的意義は依然として不明である.

方 法

頭頸部扁平上皮癌に対する加速分割照射療法(ブースト放射線療法の併用により加速)と標準分割照射療法(いずれもシスプラチンを併用)の無作為化比較試験の被験者の中から,ステージ III または IV の中咽頭扁平上皮癌患者を対象として,腫瘍の HPV の状態と生存率の関連を後ろ向きに解析した.比例ハザードモデルを用いて,HPV 陽性患者と HPV 陰性患者の死亡リスクを比較した.

結 果

追跡期間中央値は 4.8 年であった.3 年間の全生存率は,加速分割照射療法群と標準分割照射療法群で同程度であり(70.3% 対 64.3%,P=0.18,加速分割照射療法群の死亡のハザード比 0.90,95%信頼区間 0.72~1.13),高グレードの急性期・晩期の有害作用の発生率も同程度であった.中咽頭癌患者の 63.8%(323 例中 206 例)が HPV 陽性であった.HPV 陽性患者は,3 年間の全生存率は HPV 陰性患者より高く(82.4% 対 57.1%,log-rank 検定で P<0.001),年齢,人種,腫瘍・リンパ節転移のステージ,たばこ曝露,治療割付けで補正すると,死亡リスクは 58%減少した(ハザード比 0.42,95%信頼区間 0.27~0.66).喫煙箱・年の増加に伴い,死亡リスクは有意に上昇した.再帰分割分析を用いて,HPV の状態,喫煙箱・年,腫瘍のステージ,リンパ節転移のステージという 4 つの因子に基づき,患者を低死亡リスク群,中死亡リスク群,高死亡リスク群に分類した.

結 論

腫瘍の HPV の状態は,中咽頭癌患者の生存率の独立した強力な予後予測因子である.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00047008)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 24 - 35. )