April 21, 2011 Vol. 364 No. 16
デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する PRO051 全身投与
Systemic Administration of PRO051 in Duchenne's Muscular Dystrophy
N.M. Goemans and Others
デュシェンヌ型筋ジストロフィーで,関連する遺伝子変異を有する患者へのアンチセンスオリゴヌクレオチド PRO051 の局所筋肉内投与により,ジストロフィン遺伝子の pre-mRNA スプライシング時にエクソン 51 のスキッピングが誘導されること,また筋線維膜でジストロフィンの新たな発現が促進されることが報告されている.今回の第 1~2a 相試験の目的は,PRO051 全身投与の安全性,薬物動態,分子的・臨床的効果を評価することである.
12 例を対象に,PRO051 の投与可能な 4 用量(0.5 mg,2.0 mg,4.0 mg,6.0 mg/kg 体重)で,それぞれ 3 例に腹部皮下注射で週 1 回,5 週間にわたり投与した.RNA スプライシングと蛋白量の変化を前脛骨筋で 2 回測定した.全例をその後 12 週間の非盲検延長相に登録し,6.0 mg/kg/週の PRO051 を投与した.安全性,薬物動態,血清クレアチニンキナーゼ値,筋力・筋機能を評価した.
もっとも頻度の高い有害事象は投与部位の刺激症状であり,延長相では,軽度であるが程度の異なる蛋白尿と,尿中 α1 ミクログロブリン濃度の上昇が認められた.重篤な有害事象は認められなかった.PRO051 の血中消失半減期は平均 29 日であった.2.0 mg/kg 以上の PRO051 により,検出可能で特異的なエクソン 51 のスキッピングが誘導された.治療後の生検で評価した新たなジストロフィンの発現は,12 例中 10 例の筋線維の約 60~100%で認められ,対照の健常筋では最大 15.6%まで用量依存的に増加した.12 週間の延長相後の 6 分間歩行試験で,ベースラインの 384±121 m から平均(±SD)35.2±28.7 m の改善が認められた.
デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者への PRO051 全身投与により,用量依存的な分子的有効性が認められ,12 週間の延長治療後の 6 分間歩行試験でわずかな改善が得られた.(Prosensa Therapeutics 社から研究助成を受けた.Netherlands National Trial Register 番号:NTR1241)