April 21, 2011 Vol. 364 No. 16
中国における新規ブニヤウイルスに関連する血小板減少を伴う発熱
Fever with Thrombocytopenia Associated with a Novel Bunyavirus in China
X.-J. Yu and Others
2009 年に中国で急性の熱性疾患のサーベイランスが強化され,原因不明の血小板減少を伴う重度の発熱症候群(SFTS)が同定された.原因として Anaplasma phagocytophilum による感染が示唆されているが,大部分の患者では検査で病原体が検出されていない.
中国の 6 省で,SFTS の症例定義を満たす患者から血液検体を得て,細胞培養による原因病原体の分離と,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるウイルス RNA の検出を行った.病原体の特性を,電子顕微鏡検査と核酸配列決定で明らかにした.酵素免疫測定法(ELISA),間接免疫蛍光法,中和検査を用いて,患者の血清検体中のウイルス特異的抗体の濃度を分析した.
発熱,血小板減少,白血球減少,多臓器不全を呈する患者から新規ウイルスを分離し,SFTS ブニヤウイルスと命名した.RNA 配列分析から,このウイルスは,新たに同定されたブニヤウイルス科フレボウイルス属のウイルスであることが明らかになった.電子顕微鏡検査で,ブニヤウイルスに特徴的な形態のビリオンを認めた.このウイルスの存在は,6 省の SFTS 患者 171 例で,血中のウイルス RNA またはウイルス特異的抗体,あるいはその両方により確認された.血清学的検査では,急性期および回復期の患者から得た血清検体 35 組すべてでウイルス特異的な免疫反応を認めた.
中国において,発熱と血小板減少を伴う,生命を脅かす疾患を有する患者から,新規のフレボウイルスが同定された.(China Mega-Project for Infectious Diseases ほかから研究助成を受けた.)