喘息における気道リモデリングに対する気管支収縮の影響
Effect of Bronchoconstriction on Airway Remodeling in Asthma
C.L. Grainge and Others
喘息の病理学的特徴は,気道リモデリングと呼ばれる気道の構造変化である.このような変化は,より不良な長期臨床転帰に関連し,好酸球性気道炎症に起因するとされている.しかし,in vitro 試験では,気管支収縮時に生じる機械的な圧縮力が,炎症とは無関係にリモデリングを誘発する可能性が示唆されている.われわれは,喘息患者において,実験的に誘発した反復的な気管支収縮が気道の構造変化に及ぼす影響を評価した.
喘息患者 48 例を,1 種類の吸入物質による誘発を 48 時間間隔で連続 3 回行う,4 通りの吸入誘発試験プロトコールのいずれかに無作為に割り付けた.実誘発群は,チリダニアレルゲン群(気管支収縮と好酸球性気道炎症を引き起こす),メタコリン群(好酸球性気道炎症を伴わずに気管支収縮を引き起こす)の 2 群とした.対照の非誘発群(いずれも気管支収縮を引き起こさない)は,生理食塩水を用いる群と,アルブテロール(サルブタモール)のあとにメタコリンを用いる群(メタコリンの気管支収縮以外の作用を制御するため)の 2 群とした.誘発試験の実施前と終了 4 日後に,気管支生検標本を採取した.
アレルゲンとメタコリンによって,同程度の気管支収縮が即時に誘発された.好酸球性気道炎症はアレルゲン群のみで増悪したが,有意な気道リモデリングはアレルゲン群とメタコリン群で認められ,対照群 2 群では認められなかった.上皮下コラーゲンバンドの厚さは,アレルゲン群で中央値 2.17 μm(四分位範囲 [IQR] 0.70~3.67),メタコリン群で 1.94 μm(IQR 0.37~3.24)増加した(誘発群 2 群の対照群 2 群との比較について P<0.001).上皮(粘液腺)の過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色範囲も増加し,その中央値はアレルゲン群 2.17 パーセントポイント(IQR 1.03~4.77),メタコリン群 2.13 パーセントポイント(IQR 1.14~7.96)であった(対照群との比較について P=0.003).アレルゲン群とメタコリン群とのあいだに有意差は認められなかった.
喘息患者では,新たな炎症を伴わない気管支収縮によって気道リモデリングが誘発される.今回の結果は管理に影響を及ぼす可能性がある.