The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

May 26, 2011 Vol. 364 No. 21

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

脳卒中後の体重免荷トレッドミルによるリハビリテーション
Body-Weight–Supported Treadmill Rehabilitation after Stroke

P.W. Duncan and Others

背景

トレッドミル歩行に体重免荷装置を用いるといった歩行訓練は,脳卒中後の歩行能力の回復を図るための理学療法介入である.この介入の有効性と適切な実施時期は確立されていない.

方 法

2 ヵ月前に脳卒中を発症した 408 例を,歩行障害の程度に応じて,中等度(歩行速度 0.4 m/秒以上 0.8 m/秒未満)または重度(0.4 m/秒未満)に層別化し,3 つの訓練群のいずれかに無作為に割り付けた.第 1 群では脳卒中発症後 2 ヵ月で体重免荷装置を用いたトレッドミルでの訓練を開始し(早期歩行訓練群),第 2 群では脳卒中発症後 6 ヵ月でこの訓練を開始し(待期的歩行訓練群),第 3 群には脳卒中発症後 2 ヵ月で理学療法士が管理する自宅での運動プログラムに参加させた(在宅運動プログラム群).それぞれの介入では,各 90 分のセッションを 12~16 週間で 36 回行った.主要転帰は,各群で,脳卒中発症後 1 年の時点で機能的歩行能力に改善がみられた患者の割合とした.

結 果

1 年の時点で,全体の 52.0%で機能的歩行能力の改善がみられた.改善は,早期歩行訓練群と在宅運動群とのあいだ(主要転帰の補正オッズ比 0.83,95%信頼区間 [CI] 0.50~1.39),待期的歩行訓練群と在宅運動群とのあいだ(補正オッズ比 1.19,95% CI 0.72~1.99)で有意差は認められなかった.歩行速度,運動機能の回復,平衡感覚,機能状態,QOL の改善は全群で同程度であった.待期的歩行訓練における訓練開始の遅れと,最初の障害の重症度は,いずれも 1 年の時点の転帰に影響を及ぼさなかった.関連のある重篤な有害事象は 10 件報告された(発生率は早期歩行訓練群 2.2%,待期的歩行訓練群 3.5%,在宅運動群 1.6%).在宅運動群と比較して,歩行訓練群 2 群では,治療期間中の動揺性または失神性のめまいの発現頻度が高かった(P=0.008).重度の歩行障害例で,複数回転倒する頻度は,早期歩行訓練群でほかの 2 群より高かった(P=0.02).

結 論

トレッドミル歩行に体重免荷装置を用いるといった歩行訓練が,理学療法士が管理する自宅での漸増運動に比べて優れていることは示されなかった.(米国国立神経疾患・脳卒中研究所,国立医学的リハビリテーションセンターから研究助成を受けた.LEAPS ClinicalTrials.gov 番号:NCT00243919)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 2026 - 36. )