January 6, 2011 Vol. 364 No. 1
便秘を伴わない過敏性腸症候群患者に対するリファキシミン療法
Rifaximin Therapy for Patients with Irritable Bowel Syndrome without Constipation
M. Pimentel and Others
過敏性腸症候群(IBS)の病態生理には腸内細菌叢が重要な役割を果たす可能性があることを示唆するエビデンスがある.われわれは,IBS の治療法として低吸収性抗菌薬のリファキシミン(rifaximin)を評価した.
同一デザインの 2 件の第 3 相二重盲検プラセボ対照試験(TARGET 1,TARGET 2)において,便秘を伴わない IBS 患者を,リファキシミン 550 mg 群とプラセボ群に割り付け,1 日 3 回 2 週間投与し,10 週間追跡した.主要エンドポイントは IBS 症状全般の十分な緩和が得られた患者の割合とし,主要副次的エンドポイントは IBS に関連した腹部膨満の十分な緩和が得られた患者の割合とし,週 1 回評価した.十分な緩和は,治療後最初の 4 週間に 2 週間以上の症状の緩和が自己報告されることと定義した.その他の副次的エンドポイントは,治療後最初の 4 週間および 3 ヵ月の全試験期間に,IBS 症状全般と,腹部膨満,腹痛,便の硬さといった各症状の 1 日 1 回の自己評価により,治療効果が認められた患者の割合などとした.
リファキシミン群では,プラセボ群に比べて治療後最初の 4 週間に IBS 症状全般の十分な緩和が得られた患者が有意に多かった(TARGET 1 で 40.8% 対 31.2%,P=0.01;TARGET 2 で 40.6% 対 32.2%,P=0.03;両試験の合計で 40.7% 対 31.7%,P<0.001).同様に,リファキシミン群では,プラセボ群に比べて腹部膨満の十分な緩和が得られた患者が多かった(TARGET 1 で 39.5% 対 28.7%,P=0.005;TARGET 2 で 41.0% 対 31.9%,P=0.02;両試験の合計で 40.2% 対 30.3%,P<0.001).さらに,リファキシミン群では IBS 症状,腹部膨満,腹痛,便の硬さに関する 1 日 1 回の評価で治療効果が認められた患者が有意に多かった.有害事象の発生率は両群で同程度であった.
便秘を伴わない IBS 患者において,2 週間のリファキシミン治療により,IBS 症状,腹部膨満,腹痛,軟便・水様便の有意な緩和が得られた.(Salix Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00731679,NCT00724126)