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January 20, 2011 Vol. 364 No. 3

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冠動脈アテローム性硬化の自然経過に関する前向き研究
A Prospective Natural-History Study of Coronary Atherosclerosis

G.W. Stone and Others

背景

急性冠症候群を引き起こすアテローム性動脈硬化プラークは,冠動脈造影で軽度の狭窄を認める部位に発生することが多い.このような心血管イベントに関わる,病変に関連する危険因子はあまり明らかにされていない.

方 法

前向き研究として,急性冠症候群患者 697 例に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行した後,3 枝の冠動脈造影とグレースケール・高周波信号解析表示血管内超音波検査を行った.その後発生した主要心血管イベント(心臓を原因とする死亡,心停止,心筋梗塞,不安定狭心症・進行性狭心症による再入院)について,最初に治療を行った病変(責任病変)と未治療の病変(非責任病変)のどちらに関連するかを判定した.追跡期間中央値は 3.4 年であった.

結 果

主要心血管イベントの 3 年累積発生率は 20.4%であった.イベントは,患者の 12.9%では責任病変に関連すると判定され,11.6%では非責任病変に関連すると判定された.追跡期間中に発生したイベントの原因となっていた非責任病変のほとんどは,ベースラインの冠動脈造影では軽度の狭窄であった(径狭窄度の平均値 [±SD] 32.3±20.6%).しかし,多変量解析では,再発イベントに関連した非責任病変では,関連していない非責任病変に比べて,プラーク面積率が 70%以上(ハザード比 5.03,95%信頼区間 [CI] 2.51~10.11,P<0.001)もしくは最小内腔面積が 4.0 mm2 以下(ハザード比 3.21,95% CI 1.61~6.42,P=0.001)であるか,血管内超音波検査に基づき薄い線維性被膜を有する粥腫(TCFA)と分類される傾向(ハザード比 3.35,95% CI 1.77~6.36,P<0.001)があった.

結 論

急性冠症候群をきたし PCI を受けた患者において,追跡期間中に発生した主要心血管イベントには,責任病変部位での再発と非責任病変とが同程度に寄与していた.予期せぬイベントの原因となった非責任病変は,冠動脈造影では軽度の狭窄である場合が多かったが,ほとんどは TCFA であるか,グレースケール・高周波信号解析表示血管内超音波検査に基づくプラーク面積率が大きいか,内腔面積が小さいか,もしくはこれらの特徴のいくつかが同時に認められた.(Abbott Vascular 社,Volcano 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00180466)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 226 - 35. )