治療歴のない慢性 C 型肝炎ウイルス感染に対するテラプレビル
Telaprevir for Previously Untreated Chronic Hepatitis C Virus Infection
I.M. Jacobson and Others
第 2 相試験において,C 型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型 1 型に対するプロテアーゼ阻害薬であるテラプレビル(telaprevir)をペグインターフェロン+リバビリンに併用すると,ペグインターフェロン+リバビリン単独に比べて有効性が向上し,大半の患者で治療期間が短縮される可能性が示されている.
多国第 3 相無作為化二重盲検プラセボ対照試験において,治療歴のない HCV 遺伝子型 1 型感染患者 1,088 例を,次の 3 群のいずれかに割り付けた:ペグインターフェロンα-2a+リバビリンとテラプレビルの併用投与を 12 週間行ったのち,4 週目と 12 週目に HCV RNA が検出されなければペグインターフェロン+リバビリン投与を単独で 12 週間行い,いずれかの時点で HCV RNA が検出された場合にはペグインターフェロン+リバビリン投与を単独で 36 週間行う群(T12PR 群),ペグインターフェロン+リバビリンとテラプレビルの併用投与を 8 週間行い,その後ペグインターフェロン+リバビリンとプラセボの投与を 4 週間行ったのちに,同じ HCV RNA 検出基準に基づきペグインターフェロン+リバビリン投与を 12 週間または 36 週間行う群(T8PR 群),ペグインターフェロン+リバビリンとプラセボの投与を 12 週間行ったのちに,ペグインターフェロン+リバビリン投与を 36 週間行う群(PR 群).主要エンドポイントは,予定された試験薬の最終投与後 24 週で血漿 HCV RNA が検出されなかった(ウイルス排除)患者の割合とした.
ウイルス排除がみられた患者は,T12PR 群,T8PR 群のほうが PR 群より有意に多かった(それぞれ 75%,69% 対 44%,T12PR 群・T8PR 群と PR 群との比較について P<0.001).テラプレビル投与患者のうち,総治療期間 24 週間が適応となったのは 58%であった.貧血,消化器系の副作用,皮疹の発生率は,テラプレビル投与を受けた患者のほうがペグインターフェロン+リバビリン投与を単独で受けた患者よりも高かった.有害事象による治療レジメンの全中止率は T12PR 群と T8PR 群では 10%であり,PR 群では 7%であった.
ペグインターフェロン+リバビリンにテラプレビルを併用するレジメンは,ペグインターフェロン+リバビリン単独レジメンに比べて,治療歴のない HCV 遺伝子型 1 型感染患者のウイルス排除率の有意な改善と関連しており,大半の患者で治療期間は 24 週間に抑えられた.(Vertex Pharmaceuticals 社,Tibotec 社から研究助成を受けた.ADVANCE ClinicalTrials.gov 番号:NCT00627926)