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February 10, 2011 Vol. 364 No. 6

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薬剤とワクチンの発見における公的部門の研究の役割
The Role of Public-Sector Research in the Discovery of Drugs and Vaccines

A.J. Stevens and Others

背景

歴史的に,公的部門の研究者は疾患の発症機序を解明し,介入の有望なポイントを突き止める上流の基礎研究を行ってきた.一方,企業の研究者は下流の応用研究を行い,疾患の治療薬を発見し,それらを市場に出すための開発活動を行ってきた.しかし,バイオテクノロジー時代の幕開け以降,公的部門と民間部門の役割の境界が大きく変化し,現在では公的部門が薬剤発見の応用研究段階ではるかに直接的な役割を担っている.

方 法

公的研究機関(public-sector research institution:PSRI)に発見され,米国食品医薬品局(FDA)に承認された新薬と新ワクチンを同定し,治療分野と,期待される治療効果に応じて分類した.

結 果

過去 40 年間で,FDA に承認された新薬・ワクチン,既存薬の新たな適応 153 件が,PSRI での研究によって発見されたことが明らかになった.内訳は,低分子薬 93 件,生物学的製剤 36 件,ワクチン 15 件,in vivo 診断薬 8 件,一般用医薬品 1 件であった.このうち半数以上が,癌または感染症の治療や予防に用いられていた.PSRI で発見された薬剤は,きわめて大きな治療効果を有することが予想される.

結 論

公的部門の研究は,これまで認識されていた以上に,公衆衛生の向上により直接的な影響を及ぼしている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 535 - 41. )