The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 3, 2011 Vol. 364 No. 9

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

心房細動患者に対するアピキサバン
Apixaban in Patients with Atrial Fibrillation

S.J. Connolly and Others

背景

ビタミン K 拮抗薬には心房細動患者の脳卒中を防ぐ効果があることが示されている.しかし,ビタミン K 拮抗薬療法の適応とならない患者やこの治療を受けたがらない患者は多く,このような患者は脳卒中のリスクが高い.新規の第 Xa 因子阻害薬アピキサバン(apixaban)は代替薬となる可能性がある.

方 法

二重盲検試験において,心房細動で脳卒中リスクが高く,ビタミン K 拮抗薬療法の適応とならない患者 5,599 例を,アピキサバン群(1 回 5 mg を 1 日 2 回)とアスピリン群(1 日 81~324 mg)のいずれかに無作為に割り付け,アピキサバンの優位性を検討した.平均追跡期間は 1.1 年であった.主要転帰は脳卒中または全身性塞栓症の発生とした.

結 果

登録前に,患者の 40%にビタミン K 拮抗薬の使用歴があった.アピキサバンを支持する明らかな利益が認められたため,データ・安全性モニタリング委員会により試験の早期中止が勧告された.主要転帰イベントは,アピキサバン群で 51 件(年 1.6%),アスピリン群で 113 件(年 3.7%)発生した(アピキサバンのハザード比 0.45,95%信頼区間 [CI] 0.32~0.62,P<0.001).死亡率は,アピキサバン群で年 3.5%,アスピリン群で年 4.4%であった(ハザード比 0.79,95% CI 0.62~1.02,P=0.07).重大な出血は,アピキサバン群で 44 例(年 1.4%),アスピリン群で 39 例(年 1.2%)発生した(アピキサバンのハザード比 1.13,95% CI 0.74~1.75,P=0.57).頭蓋内出血は,アピキサバン群で 11 例,アスピリン群で 13 例認められた.心血管系の原因による初回入院のリスクは,アピキサバン群のほうがアスピリン群より低かった(年 12.6% 対 年 15.9%,P<0.001).治療効果は,重要なサブグループで一貫して認められた.

結 論

ビタミン K 拮抗薬療法の適応とならない心房細動患者において,アピキサバンにより,脳卒中・全身性塞栓症のリスクが低下し,重大な出血・頭蓋内出血のリスクの有意な上昇は認められなかった.(Bristol-Myers Squibb 社,Pfizer 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00496769)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 806 - 17. )