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March 3, 2011 Vol. 364 No. 9

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糖尿病,空腹時血糖値,死因別死亡リスク
Diabetes Mellitus, Fasting Glucose, and Risk of Cause-Specific Death

The Emerging Risk Factors Collaboration

背景

糖尿病や高血糖が,癌またはその他の血管系以外の病態による死亡リスクとどの程度関連しているかは,明らかにされていない.

方 法

97 件の前向き研究の参加者 820,900 人で発生した 123,205 件の死亡に関する個々のデータから,ベースラインの糖尿病の状態または空腹時血糖値に基づき,死因別死亡のハザード比を算出した.

結 果

年齢,性別,喫煙状況,体格指数(BMI)による補正後では,糖尿病者の非糖尿病者に対するハザード比は,全死因死亡 1.80(95%信頼区間 [CI] 1.71~1.90),癌による死亡 1.25(95% CI 1.19~1.31),血管系の原因による死亡 2.32(95% CI 2.11~2.56),その他の原因による死亡 1.73(95% CI 1.62~1.85)であった.糖尿病は(非糖尿病と比較して),肝臓,膵臓,卵巣,大腸,肺,膀胱,乳房の癌による死亡と中程度に関連がみられた.糖尿病は(非糖尿病と比較して),癌と血管疾患による死亡だけでなく,腎疾患,肝疾患,肺炎とその他の感染症,精神疾患,肝臓以外の消化器疾患,外的原因,意図的な自傷行為,神経系障害,慢性閉塞性肺疾患による死亡との関連もみられた.血糖マーカーでさらに補正するとハザード比に大幅な低下が認められたが,収縮期血圧,脂質濃度,炎症マーカーまたは腎機能のマーカーによる補正ではハザード比の低下は認められなかった.空腹時血糖値が 100 mg/dL(5.6 mmol/L)を超えると死亡との関連がみられたが,70~100 mg/dL(3.9~5.6 mmol/L)では関連はみられなかった.50 歳の糖尿病者は死亡時年齢が非糖尿病者より平均 6 年若かったが,その差の約 40%は,血管系以外の原因による死亡に起因していた.

結 論

糖尿病は,いくつかの主要な危険因子とは独立して,血管疾患以外にも,いくつかの癌,感染症,外的原因,意図的な自傷行為,変性疾患による多数の早期死亡との関連がみられる.(英国心臓財団ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 829 - 41. )