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March 3, 2011 Vol. 364 No. 9

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不安定な統合失調症に対する長時間作用型リスペリドンと経口抗精神病薬
Long-Acting Risperidone and Oral Antipsychotics in Unstable Schizophrenia

R.A. Rosenheck and Others

背景

第二世代抗精神病薬である長時間作用型リスペリドン注射剤は,統合失調症において治療遵守と転帰を改善する可能性があるが,不安定な統合失調症患者を対象とした長期無作為化試験は実施されていない.

方 法

統合失調症または統合失調感情障害で,過去 2 年間に入院歴があるか現在切迫した入院リスクを有する,米国退役軍人局医療制度の患者を,長時間作用型リスペリドン注射剤 25~50 mg を 2 週間ごとに投与する群と,精神科医が経口抗精神病薬を選択し投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.すべての患者を最長 2 年間追跡した.主要エンドポイントは,退役軍人局の病院またはその他の病院での精神科入院とした.症状,QOL,機能について,盲検化したテレビ電話による面談で評価した.

結 果

369 例の被験者のうち,40%が無作為化時に入院しており,55%が過去 2 年間に入院歴があり,5%が入院リスクを有していた.無作為化後の入院率は,長時間作用型リスペリドン注射剤群で経口抗精神病薬群よりも有意に低くはなかった(10.8 ヵ月後で 39% 対 11.3 ヵ月後で 45%,ハザード比 0.87,95%信頼区間 0.63~1.20).精神症状,QOL,個人的・社会的機能尺度による全般的機能スコア,神経学的副作用について,長時間作用型リスペリドン注射剤では,経口抗精神病薬と比較して有意な改善は認められなかった.長時間作用型リスペリドン注射剤群では,注射部位の有害事象と錐体外路系症状が,より多く報告された.

結 論

統合失調症か統合失調感情障害で入院中,もしくは入院リスクの高い患者において,長時間作用型リスペリドン注射剤は,精神科医が選択した経口抗精神病薬に対する優越性が認められず,注射部位と錐体外路系の有害作用の増加と関連していた.(米国退役軍人局共同研究プログラムと Ortho-McNeil Janssen Scientific Affairs 社から研究助成を受けた. ClinicalTrials.gov 番号:NCT00132314)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 842 - 51. )