October 20, 2011 Vol. 365 No. 16
結核を有する HIV 感染成人患者に対する抗レトロウイルス療法の早期開始と待期的開始の比較
Earlier versus Later Start of Antiretroviral Therapy in HIV-Infected Adults with Tuberculosis
F.-X. Blanc and Others
結核は依然として,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者における重要な死因の一つである.抗結核療法の開始時期との関連で,抗レトロウイルス療法(ART)をいつ開始すべきかについては確固たるデータが不足している.
新たに結核と診断され,CD4+T 細胞数が 200 個/mm3 以下で,抗レトロウイルス薬に曝露されたことのない成人では,ART の開始時期が死亡率に有意な影響を及ぼすという仮説を検証した.結核に対する標準的な 6 ヵ月の治療後,患者をスタブジン(stavudine),ラミブジン,エファビレンツの投与を早期(結核治療開始から 2 週間後)に開始する群と待期的(同 8 週間後)に開始する群のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは生存とした.
661 例を登録し,中央値 25 ヵ月間追跡した.CD4+T 細胞数中央値は 25 個/mm3,ウイルス量中央値は 5.64 log10 コピー/mL であった.死亡リスクは早期 ART 群で有意に低下し,332 例中 59 例(18%)が死亡したのに対し,待期的 ART 群では 329 例中 90 例(27%)が死亡した(ハザード比 0.62,95%信頼区間 [CI] 0.44~0.86,P=0.006).結核関連免疫再構築症候群のリスクは,早期 ART 群で有意に上昇した(ハザード比 2.51,95% CI 1.78~3.59,P<0.001).試験群を問わず,CD4+T 細胞数増加の中央値は 114 個/mm3 で,50 週の時点でのウイルス量は,患者の 96.5%で検出限界未満であった.
CD4+T 細胞数 200 個/mm3 以下の HIV 感染結核成人において,結核治療開始後 2 週間で ART を開始することにより,生存が有意に改善された.(フランス国立エイズ・ウイルス性肝炎研究機関,米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.CAMELIA ClinicalTrials.gov 番号:NCT01300481)