November 3, 2011 Vol. 365 No. 18
嚢胞性線維症と G551D 変異を有する患者に対する嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子増強薬
A CFTR Potentiator in Patients with Cystic Fibrosis and the G551D Mutation
B.W. Ramsey and Others
嚢胞性線維症において,機能欠損を示す嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)蛋白の活性を高めることが治療法となる可能性がある.
嚢胞性線維症で,G551D-CFTR 変異を 1 つ以上有する 12 歳以上の患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験において,CFTR 増強薬であるアイバカフトール(ivacaftor)(VX-770)を評価した.患者を,アイバカフトール 150 mg を 12 時間ごとに投与する群(84 例,うち 83 例に対し 1 回以上投与)とプラセボ群(83 例,うち 78 例に対し 1 回以上投与)に無作為に割り付け,48 週間投与した.主要エンドポイントは,予測 1 秒量に対するパーセント値(%FEV1)のベースラインから 24 週までの平均変化量の推定値とした.
%FEV1 のベースラインから 24 週までの変化量は,アイバカフトール群のほうがプラセボ群よりも 10.6 パーセントポイント大きかった(P<0.001).肺機能に対する効果は 2 週までに認められ,有意な治療効果は 48 週まで維持された.アイバカフトール群患者はプラセボ群患者よりも,肺疾患増悪リスクが 48 週の時点で 55%低かった(P<0.001).また,アイバカフトール群ではプラセボ群と比較して,嚢胞性線維症質問票改訂版における呼吸器症状分野のスコア(100 点の尺度で,スコアが高いほど症状が患者の QOL に及ぼす影響が小さいことを示す)が,48 週の時点で 8.6 ポイント高かった(P<0.001).48 週までに,アイバカフトール群では体重がプラセボ群よりも平均 2.7 kg 多く増加した(P<0.001).アイバカフトール群では,CFTR 活性の指標である汗中塩化物濃度のベースラインから 48 週までの変化量は,プラセボ群と比較して -48.1 mmol/L であった(P<0.001).有害事象発現率はアイバカフトール群とプラセボ群で同程度であり,重篤な有害事象の割合はアイバカフトール群のほうがプラセボ群よりも低かった(24% 対 42%).
アイバカフトールは 2 週までの肺機能の改善に関連しており,これは 48 週まで維持された.また,肺疾患増悪のリスク,患者評価による呼吸器症状,体重,汗中塩化物濃度にも大幅な改善が認められた.(Vertex Pharmaceuticals 社ほかから研究助成を受けた.VX08-770-102 ClinicalTrials.gov 番号:NCT00909532)