November 3, 2011 Vol. 365 No. 18
メディケアヘルスサポート疾病管理パイロットプログラムの成績
Results of the Medicare Health Support Disease-Management Pilot Program
N. McCall and J. Cromwell
2003 年のメディケア近代化法(Medicare Modernization Act)において,議会はメディケア・メディケイドサービスセンターに,メディケアの出来高払いプログラムにおいて民間企業による疾病管理モデルを検証するよう求めた.
メディケアヘルスサポートパイロットプログラムは,看護師中心に構成されるコールセンターに基づく疾病管理のための 8 つの民間企業プログラムに関する大規模な無作為化研究である.心不全,糖尿病,あるいはその両方を有する患者を,介入群と通常ケア群(対照群)に無作為に割り付け,difference-in-differences 法を用いて,民間企業プログラムが,臨床ケアの質,救急の利用,メディケア出来高払い受給者へのメディケアの支払いに及ぼす影響を比較検討した.
患者 242,417 例(介入群 163,107 例,対照群 79,310 例)を対象とした.8 つの民間企業の疾病管理プログラムにより,通常ケアと比較して,入院,救急受診は減少しなかった.ケアプロセスの指標については,比較した 40 項目のうち,有意な改善が認められたのは 14 項目のみであった.これらのわずかな改善は,疾病管理を行う企業への支払いにより,メディケアプログラムにとって多額の負担(4 億ドル)のもとに得られたもので,メディケアの支出における明らかな節約にはならなかった.
この大規模研究において,看護師中心に構成されるコールセンターに基づく民間企業による疾病管理プログラムでは,ケアの質の指標がわずかに改善されたのみで,救急の利用,治療費に明らかな減少は認められなかった.