December 15, 2011 Vol. 365 No. 24
入院率と再入院の関係
The Relationship between Hospital Admission Rates and Rehospitalizations
A.M. Epstein, A.K. Jha, and E.J. Orav
再入院を減少させる取組みは,移行期医療の改善を中心に行われてきた.しかし再入院率におけるばらつきは,退院時や退院後のケアの質の差よりも,基礎にある入院率のばらつきに密接に関連している可能性がある.
全米のメディケアデータを用いて,各地域病院の医療圏(hospital referral region:HRR)ごとに,うっ血性心不全または肺炎で入院し,退院した患者の 30 日,60 日,90 日再入院率を算出した.また,各 HRR のメディケア加入者における人口ベースの全入院率も算出した.HRR ごとの再入院率について,全入院率により説明されるばらつきと,患者の併存疾患,退院計画の質,医師の人数,病床数により説明される差とを比較検討した.
HRR ごとの再入院率は,うっ血性心不全 11~32%,肺炎 8~27%であった.単変量解析では,うっ血性心不全による再入院率の地域間のばらつきは,全入院率により説明される割合がもっとも高く(30 日,60 日,90 日の時点でそれぞれ,28%,34%,37%),次いでケースミックス(11%,15%,18%),人口あたりの循環器専門医数(12%,14%,15%)であった.肺炎についても結果は同様であったが,人口あたりの呼吸器専門医数により説明される割合はより低かった(6%,8%,7%).多変量解析では,うっ血性心不全による再入院率の 16~24%というばらつき,肺炎による再入院率の 11~20%というばらつきは,全入院率によって説明された.6%を超えて説明する因子は認められなかった.
地域別の再入院率と全入院率とのあいだに顕著な関連が認められた.病院利用がより少ないことで共通して得られる医療費節減を目標としたプログラムのほうが,これまでに導入されてきたプログラムよりも再入院を減少させられるかもしれない.(米国連邦基金から研究助成を受けた.)