December 15, 2011 Vol. 365 No. 24
閉塞性睡眠時無呼吸患者のメタボリックシンドロームに対する持続陽圧呼吸療法
CPAP for the Metabolic Syndrome in Patients with Obstructive Sleep Apnea
S.K. Sharma and Others
閉塞性睡眠時無呼吸は,メタボリックシンドロームの有病率とその構成要素の増加に関連している.持続陽圧呼吸療法(CPAP)を用いて閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療を行うことで,これらの転帰に変化があるかどうかは明らかになっていない.
この二重盲検プラセボ対照試験では,閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者を,3 ヵ月の CPAP 治療,1 ヵ月の休薬,3 ヵ月の CPAP 偽治療の順序で行う群と,その逆の順序で行う群に無作為に割り付けた.それぞれの介入の前後に,身体計測項目,血圧,空腹時血糖値,インスリン抵抗性(恒常性モデル評価を利用),空腹時血中脂質プロファイル,糖化ヘモグロビン値,頸動脈内膜中膜厚,内臓脂肪に関する測定値を得た.メタボリックシンドロームは,全国コレステロール教育プログラムの成人治療委員会 III の基準に基づき定義し,アジア人に対する腹部肥満のカットオフ値を用いた.
86 例が試験を完了し,うち 75 例(87%)がメタボリックシンドロームであった.CPAP 治療は(CPAP 偽治療と比較して),収縮期血圧(3.9 mmHg,95%信頼区間 [CI] 1.4~6.4,P=0.001),拡張期血圧(2.5 mmHg,95% CI 0.9~4.1,P<0.001),血清総コレステロール値(13.3 mg/dL,95% CI 5.3~21.3,P=0.005),非高比重リポ蛋白コレステロール値(13.3 mg/dL,95% CI 4.8~21.8,P=0.009),低比重リポ蛋白コレステロール値(9.6 mg/dL,95% CI 2.5~16.7,P=0.008),トリグリセリド値(18.7 mg/dL,95% CI 4.3~41.6,P=0.02),糖化ヘモグロビン値(0.2%,95% CI 0.1~0.4,P=0.003)の平均の有意な低下に関連していた.CPAP 治療を行ったあとにはメタボリックシンドロームの頻度が低下した(メタボリックシンドロームが改善したのは,CPAP 治療後 86 例中 11 例 [13%] に対し CPAP 偽治療後 86 例中 1 例 [1%]).CPAP 治療を最初に行った群では,1 例で急速進行性高血圧が発現し,別の 2 例で CPAP に対する不耐性が発現し,CPAP 偽治療を最初に行った群では,1 例が CPAP 偽治療の継続を拒否した.
中等度~重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者に対して 3 ヵ月の CPAP 治療を行うと,血圧が低下し,代謝異常が部分的に改善した.(Pfizer 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00694616)