The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

December 29, 2011 Vol. 365 No. 26

大腿骨頸部手術後の高リスク患者に対する輸血の非制限的実施と制限的実施
Liberal or Restrictive Transfusion in High-Risk Patients after Hip Surgery

J.L. Carson and Others

背景

術後に赤血球輸血が必要となるヘモグロビン閾値については議論がある.輸血の閾値を高くすることで大腿骨頸部骨折手術を受けた患者の回復が促進されるかどうかを検討する目的で,無作為化試験を行った.

方 法

年齢が 50 歳以上で,心血管疾患の既往または危険因子を有し,大腿骨頸部骨折手術後のヘモグロビン値が 10 g/dL 未満の患者 2,016 例を登録した.患者を,輸血の非制限的実施群(ヘモグロビン閾値 10 g/dL)と,制限的実施群(貧血の症状がみられる場合またはヘモグロビン値 8 g/dL 未満で医師が判断する場合)に無作為に割り付けた.主要転帰は,60 日後の追跡調査での死亡または部屋の端から端まで人の介助なしでは歩行不能であることとした.

結 果

輸血単位数の中央値は非制限的実施群 2 単位,制限的実施群 0 単位であった.主要転帰の発生率は非制限的実施群 35.2%,制限的実施群 34.7%であり(非制限的実施群のオッズ比 1.01,95%信頼区間 [CI] 0.84~1.22),リスクの絶対差は 0.5 パーセントポイントであった(95% CI -3.7~4.7).院内での急性冠症候群または死亡の発生率はそれぞれ 4.3%と 5.2%であり(リスクの絶対差 -0.9%,99% CI -3.3~1.6),60 日後の死亡率はそれぞれ 7.6%と 6.6%であった(リスクの絶対差 1.0%,99% CI -1.9~4.0).その他の合併症の発生率は両群で同程度であった.

結 論

心血管リスクの高い高齢患者に対して輸血を非制限的に実施しても,制限的実施と比較して 60 日後の死亡または自立歩行不能が発生する率は低下せず,院内での病態発生も減少しなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.FOCUS ClinicalTrials.gov 番号:NCT00071032)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 2453 - 62. )