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August 11, 2011 Vol. 365 No. 6

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慢性便秘に対するリナクロチドに関する 2 つの無作為化試験
Two Randomized Trials of Linaclotide for Chronic Constipation

A.J. Lembo and Others

背景

リナクロチド(linaclotide)は,グアニル酸シクラーゼ C 受容体に対する低吸収性のアゴニストである.慢性便秘患者に対するリナクロチドの有効性と安全性を検討することを目的として 2 つの試験を行った.

方 法

慢性便秘患者 1,276 例を対象として,2 用量のリナクロチドを 12 週間検討する多施設共同無作為化二重盲検並行群間プラセボ対照試験(試験 303,試験 01)を行った.患者を,プラセボ群,リナクロチド 145 μg 群,同 290 μg 群に割り付け,1 日 1 回 12 週間投与した.主要有効性エンドポイントは,完全な自然排便(CSBM)が週 3 回以上みられることと,CSBM のベースラインからの 1 回以上の増加が 12 週中 9 週以上みられることとした.有害事象のモニタリングも行った.

結 果

主要エンドポイントを達成したのは,リナクロチド 145 μg 群では,試験 303,試験 01 でそれぞれ 21.2%と 16.0%であり,リナクロチド 290 μg 群ではそれぞれ 19.4%と 21.3%であったのに対して,プラセボ群ではそれぞれ 3.3%と 6.0%であった(リナクロチド群とプラセボ群とのすべての比較について P<0.01).すべての副次的エンドポイントの改善は,両リナクロチド群のほうがプラセボ群に比べて有意に大きかった.有害事象の発生率は,両リナクロチド群の 4.2%で投与中止の原因となった下痢を除き,全群で同程度であった.

結 論

リナクロチドを 12 週投与する今回の 2 つの試験では,慢性便秘患者の排便症状と腹部症状が有意に軽減した.慢性便秘に対するリナクロチドの長期の潜在的なリスクと有益性を評価するには,さらなる研究を行う必要がある.(Ironwood Pharmaceuticals 社,フォレスト研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00765882,NCT00730015)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 527 - 36. )