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March 22, 2012 Vol. 366 No. 12

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急性骨髄性白血病における統合的遺伝子プロファイリングの予後因子としての意義
Prognostic Relevance of Integrated Genetic Profiling in Acute Myeloid Leukemia

J.P. Patel and Others

背景

急性骨髄性白血病(AML)は,症状と臨床転帰に関して不均一な疾患である.最近同定された体細胞変異の予後因子としての意義については,AML 治療の第 3 相試験で体系的な評価はなされていない.

方 法

60 歳未満の AML 患者 398 例を,ダウノルビシンによる寛解導入療法を高用量で行う群と標準用量で行う群に無作為に割り付け,18 遺伝子の変異解析を行った.得られた予後所見を,患者 104 例から成る独立したセットにおいて検証した.

結 果

患者の 97.3%で,体細胞変異が 1 個以上同定された.FLT3 の遺伝子内縦列重複(FLT3-ITD),MLL の部分縦列重複(MLL-PTD),ASXL1 PHF6 の変異が,全生存率の低下に関連することがわかった(FLT3-ITD について P=0.001,MLL-PTD について P=0.009,ASXL1 について P=0.05,PHF6 について P=0.006).CEBPA IDH2 の変異は,全生存率の改善に関連した(CEBPA について P=0.05,IDH2 について P=0.01).NPM1 変異の望ましい効果は,NPM1 変異と IDH1 変異または IDH2 変異の両方を有する患者でのみ認められた.年齢,白血球数,導入量,寛解後の治療法とは独立して,AML 患者におけるリスク層別化を改善する,転帰の遺伝的予測因子を同定し,独立したコホート集団においてこれらの予測因子の有意性を検証した.高用量ダウノルビシンにより,標準用量ダウノルビシンと比較して,DNMT3A 変異,NPM1 変異,MLL 転座のいずれかを有する患者で生存率が改善されたが(P=0.001),野生型の DNMT3ANPM1MLL を有する患者ではそのような改善はみられなかった(P=0.67).

結 論

DNMT3A 変異,NPM1 変異,MLL 転座から,AML 患者への高用量の寛解導入化学療法による転帰の改善が予測されることがわかった.これらの結果から,変異プロファイリングを用いてリスクを層別化し,AML 患者の予後の判定と治療の決定を導くことができる可能性が示唆される.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 1079 - 89. )