夜間の集中治療医の配置と重症患者の死亡率
Nighttime Intensivist Staffing and Mortality among Critically Ill Patients
D.J. Wallace and Others
集中治療室(ICU)の転帰を改善する戦略として,集中治療医を 24 時間配置する病院が増加している.しかし,夜間における集中治療医の配置の厚さが ICU ケアの質の改善と関連するかは不明である.
2009~10 年に急性生理的異常・慢性度による重症度評価(APACHE)臨床情報システムに参加した ICU を対象とする後ろ向きコホート研究において,ICU の人員配置の調査と,ICU に入室した成人患者の転帰データとを関連付けた.多変量モデルを用いて,夜間の集中治療医配置と ICU 患者の院内死亡率との関連を,日中の集中治療医配置,疾患の重症度,ケースミックスについて補正して評価した.第 2 のコホートにおける検証解析を,入手できる詳細なデータがより少ないペンシルベニア州の病院の人口ベースのコホートを対象に行った.
APACHE データベースを用いた解析では,25 病院 49 ICU に入室した 65,752 例を対象とした.日中の配置が薄い ICU では,夜間の集中治療医の配置は,リスク補正後の院内死亡率の低下と関連していた(死亡の補正オッズ比 0.62,P=0.04).日中の配置が厚い ICU では,夜間の集中治療医配置は,リスク補正後の院内死亡率に関して利益をもたらさなかった(オッズ比 1.08,P=0.78).検証コホートにおいても,日中の配置,夜間の配置,院内死亡率に,同様の関係が認められた.夜間の配置と日中の配置との交互作用は有意ではなかったが(P=0.18),結果の傾向は APACHE コホートと同様であった.
集中治療医の日中の配置が薄いモデルに夜間の配置を追加することは,死亡率の低下と関連していた.しかし,日中の配置が厚い ICU では死亡率の低下はみられなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.)