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March 1, 2012 Vol. 366 No. 9

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妊娠中のニコチン代替療法パッチの無作為化試験
A Randomized Trial of Nicotine-Replacement Therapy Patches in Pregnancy

T. Coleman and Others

背景

ニコチン代替療法は妊娠中以外の禁煙に有効であり,妊娠中の使用が広く推奨されている.われわれは,妊娠中のニコチンパッチの有効性と安全性を検討した.

方 法

イングランドの 7 病院において,年齢 16~50 歳,妊娠 12~24 週で,1 日の喫煙本数が 5 本以上である被験者を募集した.被験者には行動科学的な面での禁煙支援を行うほか,ニコチンパッチ(15 mg/16 時間)で 8 週間治療する群と,マッチさせたプラセボパッチで治療する群に無作為に割り付けた.主要転帰は禁煙開始日から出産までの禁煙状態とし,呼気中一酸化炭素または唾液中コチニンの測定によって確認した.安全性は,有害な妊娠・分娩転帰のモニタリングにより評価した.

結 果

被験者 1,050 例のうち,521 例をニコチン代替療法群に,529 例をプラセボ群に無作為に割り付けた.禁煙開始日から出産までの禁煙率について,ニコチン代替療法群とプラセボ群とのあいだに有意差は認められなかったが(それぞれ 9.4%と 7.6%,ニコチン代替療法の非補正のオッズ比 1.26,95%信頼区間 0.82~1.96),1 ヵ月時点の禁煙率はニコチン代替療法群のほうがプラセボ群より高かった(21.3% 対 11.7%).遵守率は低く,1 ヵ月以上パッチを使用したのはニコチン代替療法群の 7.2%と,プラセボ群の 2.8%のみであった.有害な妊娠・分娩転帰の発生率は両群で同程度であった.

結 論

喫煙する妊娠女性に対し,行動科学的禁煙支援に加えニコチンパッチ(15 mg/16 時間)による治療を行っても,出産までの禁煙率が有意に上昇することはなく,有害な妊娠・分娩転帰のリスクが有意に上昇することもなかった.しかし,安全性の評価は低い遵守率によって大幅に制限された.(英国国立衛生研究所・医療技術評価プログラムから研究助成を受けた.Current Controlled Trials 番号:ISRCTN07249128)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 808 - 18. )