September 13, 2012 Vol. 367 No. 11
州のメディケイド拡大後の成人における死亡率とケアへのアクセス
Mortality and Access to Care among Adults after State Medicaid Expansions
B.D. Sommers, K. Baicker, and A.M. Epstein
米国のいくつかの州では,過去 10 年間に成人のメディケイド受給資格が拡大されており,医療費負担適正化法によって,2014 年には各州がメディケイドを大幅に拡大することが可能になる.しかし,そのような変化が成人の健康に及ぼす影響はまだ明らかにされていない.われわれは,メディケイドの拡大が,死亡率や他の健康関連指標の変化に関連するかどうかを検討した.
成人のメディケイド受給資格が 2000 年以降に大幅に拡大された 3 つの州(ニューヨーク,メイン,アリゾナ)を,拡大されなかった隣接州と比較した.標本は,1997~2007 年の期間に,拡大の前後 5 年間観察された 20~64 歳の成人から成った.主要転帰は,米国疾病対策予防センター(CDC)の圧縮死亡ファイルに含まれる,年別・郡別にみた 68,012 人の観察結果における,郡単位の全死因死亡率とした.副次的転帰は,最新人口調査の 169,124 人と,行動危険因子サーベイランスシステムの 192,148 人における,保険加入率,費用を原因とするケアの遅れ,自己評価による健康状態とした.
メディケイドの拡大は,補正全死因死亡率の有意な低下に関連した(成人 100,000 人あたり死亡 19.6 例減少,相対的減少 6.1%;P=0.001).死亡率低下は,高齢者,非白人,貧しい郡の居住者においてもっとも大きかった.拡大によって,メディケイド加入が増加し(2.2 パーセントポイント増加,相対的増加 24.7%;P=0.01),無保険率が低下し(3.2 パーセントポイント低下,相対的低下 14.7%;P<0.001),費用が原因でケアが遅れる率が低下し(2.9 パーセントポイント低下,相対的低下 21.3%;P=0.002),自己評価による健康状態が「きわめて良好」または「とても良好」である割合が増加した(2.2 パーセントポイント増加,相対的増加 3.4%;P=0.04).
低所得層の成人を保険に加入させるための州のメディケイド拡大は,死亡率の低下のほか,保険加入,ケアへのアクセス,自己評価による健康状態の改善に有意に関連した.