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November 22, 2012 Vol. 367 No. 21

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再発性静脈血栓塞栓症を予防するための低用量アスピリン
Low-Dose Aspirin for Preventing Recurrent Venous Thromboembolism

T.A. Brighton and Others

背景

特発性静脈血栓塞栓症の初回エピソードを認めた患者では,抗凝固薬の投与中止後に再発するリスクが高い.静脈血栓塞栓症の再発予防にアスピリンが有効である可能性がある.

方 法

特発性静脈血栓塞栓症の初回エピソードを認め,初回抗凝固療法を終了した患者 822 例を,アスピリン 100 mg/日群またはプラセボ群に無作為に割り付け,最長 4 年間投与を行った.主要転帰は静脈血栓塞栓症の再発とした.

結 果

追跡期間中央値 37.2 ヵ月のあいだに,静脈血栓塞栓症は,プラセボ群 411 例中 73 例,アスピリン群 411 例中 57 例で再発した(発生率 6.5%/年 対 4.8%/年,アスピリン群のハザード比 0.74,95%信頼区間 [CI] 0.52~1.05,P=0.09).アスピリンによって,事前に規定した 2 つの副次的複合転帰,すなわち静脈血栓塞栓症,心筋梗塞,脳卒中,心血管系死亡の複合発生率が 34%低下し(発生率 プラセボ群 8.0%/年 対 アスピリン群 5.2%/年,アスピリン群のハザード比 0.66,95% CI 0.48~0.92,P=0.01),静脈血栓塞栓症,心筋梗塞,脳卒中,重大な出血,全死因死亡の複合発生率が 33%低下した(ハザード比 0.67,95% CI 0.49~0.91,P=0.01).重大な出血エピソードまたは重大ではないが臨床的に重要な出血エピソードの発生率(発生率 プラセボ群 0.6%/年 対 アスピリン群 1.1%/年,P=0.22)と,重篤な有害事象の発生率には群間で有意差は認められなかった.

結 論

今回の試験では,静脈血栓塞栓症の再発率は,アスピリンによって,プラセボと比較して有意には低下しなかったが,主要血管イベントの発生率は有意に低下し,正味の臨床的利益が改善された.これらの結果は,先行研究で示された,特発性静脈血栓塞栓症の初回エピソードに対する初回抗凝固療法を終了した患者にアスピリンを投与することの治療上の利益を立証している.(オーストラリア国立保健医療研究評議会ほかから研究助成を受けた.Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号:ACTRN12605000004662)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 1979 - 87. )