December 13, 2012 Vol. 367 No. 24
ex vivo での間葉細胞共培養による臍帯血の生着
Cord-Blood Engraftment with Ex Vivo Mesenchymal-Cell Coculture
M. de Lima and Others
臍帯血移植の有用性は,移植細胞数が少ないことによる生着不良によって制限されている.われわれは,間葉系間質細胞とともに ex vivo 増殖させた臍帯血を移植することで,生着が改善するという仮説を立てた.
2 単位の臍帯血のうち,1 単位は同種間葉系間質細胞と共培養で ex vivo 増殖させた臍帯血の移植を受けた成人造血器腫瘍患者 31 例における生着結果を検討した.これらの患者の結果を,無処理の臍帯血 2 単位の移植を受けた歴史的対照 80 例と比較した.
間葉系間質細胞との共培養により,総有核細胞は中央値で 12.2 倍に増殖し,CD34+細胞は中央値で 30.1 倍に増殖した.増殖させた臍帯血と無処理の臍帯血各 1 単位の移植で,患者には中央値で総有核細胞 8.34×107/kg 体重,CD34+細胞 1.81×106/kg が移植された.これはわれわれが以前に行った無処理臍帯血 2 単位の移植での細胞数よりも多い.生着が認められた患者では,好中球生着までの期間の中央値は,増殖臍帯血のレシピエントでは 15 日であったのに対し,無処理臍帯血のみの対照では 24 日で(P<0.001),血小板生着までの期間の中央値はそれぞれ 42 日と 49 日であった(P=0.03).26 日目における好中球の累積生着率は,増殖臍帯血のレシピエントでは 88%,増殖させていない臍帯血のレシピエントでは 53%であり(P<0.001),60 日目における血小板の累積生着率はそれぞれ 71%と 31%であった(P<0.001).
間葉系間質細胞とともに増殖させた臍帯血の移植は,安全かつ有効であると考えられる.増殖臍帯血と無処理臍帯血の併用により,無処理臍帯血のみと比較して有意に生着が改善した.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00498316)