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December 20, 2012 Vol. 367 No. 25

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糖尿病患者の多枝血行再建戦略
Strategies for Multivessel Revascularization in Patients with Diabetes

M.E. Farkouh and Others

背景

糖尿病患者に対する血行再建戦略を比較したいくつかの無作為化試験では,冠動脈バイパス術(CABG)のほうが経皮的冠動脈インターベンション(PCI)よりも良好な転帰が得られている.われわれは,積極的薬物治療と薬剤溶出ステントによって,糖尿病と多枝冠動脈疾患を有する患者の血行再建に対するアプローチが変えられるかどうかを検討した.

方 法

無作為化試験において,糖尿病と多枝冠動脈疾患を有する患者を,薬剤溶出ステントを用いる PCI 群と CABG 群に割り付けた.追跡期間は最短で 2 年(生存例では中央値 3.8 年)であった.低比重リポ蛋白コレステロール,収縮期血圧,糖化ヘモグロビンのコントロールを目的として,全例に現在推奨されている薬剤を処方した.主要転帰は,全死因死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中の複合とした.

結 果

2005~10 年に世界 140 施設で 1,900 例を登録した.患者の平均年齢は 63.1±9.1 歳であり,29%が女性であり,83%が 3 枝病変であった.主要転帰は PCI 群のほうが頻度が高く(P=0.005),5 年発生率は PCI 群で 26.6%,CABG 群で 18.7%であった.CABG の有益性は,心筋梗塞(P<0.001)と全死因死亡(P=0.049)の両方の発生率の差によるものであった.脳卒中は CABG 群のほうが頻度が高く,5 年発生率は PCI 群で 2.4%,CABG 群で 5.2%であった(P=0.03).

結 論

糖尿病と進行した冠動脈疾患を有する患者に対して,CABG は死亡と心筋梗塞の発生率が有意に低下するという点で PCI よりも優れていたが,脳卒中の発生率は CABG のほうが高かった.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.FREEDOM ClinicalTrials.gov 番号:NCT00086450)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 2375 - 84. )