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December 27, 2012 Vol. 367 No. 26

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外傷性脳損傷に対する頭蓋内圧モニタリングの試験
A Trial of Intracranial-Pressure Monitoring in Traumatic Brain Injury

R.M. Chesnut and Others

背景

頭蓋内圧モニタリングは,重症外傷性脳損傷の標準治療と考えられ頻繁に用いられているが,モニタリングに基づく治療が転帰の改善に有効かどうか,厳密な評価は行われていない.

方 法

ボリビアまたはエクアドルで重症外傷性脳損傷を負い,集中治療室(ICU)で治療を受けていた 13 歳以上の患者 324 例を対象に,多施設共同対照試験を行った.患者を,実質内の頭蓋内圧をモニタリングするプロトコールを用いる,ガイドラインに基づく管理を行う群(圧モニタリング群)と,画像検査と臨床検査に基づき治療を行うプロトコールを用いる群(画像・臨床検査群)に無作為に割り付けた.主要転帰は,生存期間,意識障害,3 ヵ月・6 ヵ月時点の機能状態,および 6 ヵ月時点の神経心理学的状態の複合とした.神経心理学的状態は,プロトコールの割付けを知らされていない検査者が評価した.この複合指標は,機能状態・認知状態の 21 項目の成績に基づき,パーセンタイルで算出した(0 が最悪の成績,100 が最良の成績を表す).

結 果

主要複合転帰である,機能状態・認知状態の 21 項目のパーセンタイルで表した成績に,群間で有意差は認められなかった(スコアは圧モニタリング群 56 対 画像・臨床検査群 53,P=0.49).6 ヵ月死亡率は,圧モニタリング群 39%,画像・臨床検査群 41%であった(P=0.60).ICU 在室期間の中央値は 2 群で同程度であったが(圧モニタリング群 12 日,画像・臨床検査群 9 日,P=0.25),ICU における脳特異的な治療(高張液投与,過換気など)の日数は,画像・臨床検査群のほうが圧モニタリング群よりも多かった(4.8 日 対 3.4 日,P=0.002).重篤な有害事象の分布は,2 群で同様であった.

結 論

重症外傷性脳損傷患者において,モニタリングによって頭蓋内圧を 20 mmHg 以下に維持することに重点をおいたケアが,画像・臨床検査に基づくケアと比較して優れていることは示されなかった.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01068522)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 2471 - 81. )