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August 9, 2012 Vol. 367 No. 6

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高齢のマントル細胞リンパ腫患者の治療
Treatment of Older Patients with Mantle-Cell Lymphoma

H.C. Kluin-Nelemans and Others

背景

高齢のマントル細胞リンパ腫患者の長期予後は不良である.免疫化学療法は,完全寛解率が低く,大部分の患者が再発する.フルダラビンを含む寛解導入療法で完全寛解率が上昇するかどうか,そしてリツキシマブによる維持療法で寛解期間が延長するかどうかを検討した.

方 法

病期 II~IV 期のマントル細胞リンパ腫を有し,高用量療法に適格でない 60 歳以上の患者を,リツキシマブ,フルダラビン,シクロホスファミド(R-FC)を 28 日ごとに 6 サイクル投与する群と,リツキシマブ,シクロホスファミド,ドキソルビシン,ビンクリスチン,プレドニゾン(R-CHOP)を 21 日ごとに 8 サイクル投与する群に無作為に割り付けた.効果が認められた患者には 2 回目の無作為化を行い,リツキシマブによる維持療法またはインターフェロンα による維持療法に割り付け,それぞれ増悪するまで投与した.

結 果

登録した 560 例のうち,532 例を効果の intention-to-treat 解析の対象とし,485 例を効果の主要解析の対象とした.年齢中央値は 70 歳であった.完全寛解率は R-FC と R-CHOP とで同等であったが(それぞれ 40%と 34%,P=0.10),増悪の頻度は R-FC のほうが高かった(14% 対 R-CHOP 5%).全生存期間は R-FC のほうが R-CHOP よりも有意に短く(4 年生存率 47% 対 62%,P=0.005),R-FC 群のほうが最初の寛解中に死亡した患者が多かった(10% 対 4%).血液毒性は R-FC 群のほうが R-CHOP 群よりも高頻度に発現したが,グレード 3 または 4 の感染症の発生率は同程度であった(それぞれ 17%と 14%).維持療法に無作為に割り付けられた 316 例のうち,主要解析の対象となった 274 例では,リツキシマブにより増悪または死亡のリスクが 45%減少した(4 年後も寛解にあった患者の割合:58% 対 インターフェロンα 29%,増悪または死亡のハザード比 0.55,95%信頼区間 0.36~0.87,P=0.01).R-CHOP による効果が認められた患者では,リツキシマブによる維持療法で全生存期間が有意に延長した(4 年生存率:87% 対 インターフェロンα 63%,P=0.005).

結 論

R-CHOP による寛解導入とその後のリツキシマブによる維持療法は,高齢のマントル細胞リンパ腫患者に有効である.(欧州委員会ほかから研究助成を受けた. ClinicalTrials.gov 番号:NCT00209209)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 520 - 31. )