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August 23, 2012 Vol. 367 No. 8

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肝硬変と血小板減少症を有する患者に対する術前エルトロンボパグ投与
Eltrombopag before Procedures in Patients with Cirrhosis and Thrombocytopenia

N.H. Afdhal and Others

背景

エルトロンボパグは,経口トロンボポエチン受容体作用薬である.この試験では,血小板減少症と慢性肝疾患を有し,待期的侵襲的処置が施行される患者において,エルトロンボパグの血小板数増加と血小板輸血の必要性の低下について有効性を評価した.

方 法

種々の原因による慢性肝疾患を有し,血小板数が 50,000/mm3 未満の患者 292 例を,待期的侵襲的処置の施行前 14 日間にエルトロンボパグ 75 mg/日を投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.処置は最終投与から 5 日以内に施行することとした.主要エンドポイントは処置前,処置中,処置 7 日後までの血小板輸血の回避とした.主要な副次的エンドポイントはこの期間中における出血の発生(世界保健機関 [WHO] の分類でグレード 2 以上)とした.

結 果

血小板輸血は,エルトロンボパグ群 145 例中 104 例(72%)と,プラセボ群 147 例中 28 例(19%)で回避された(P<0.001).WHO 分類グレード 2 以上の出血エピソードについては,エルトロンボパグ群とプラセボ群とのあいだに有意差は認められず,それぞれ患者の 17%と 23%で報告された.門脈系の血栓イベントがエルトロンボパグ群の 6 例とプラセボ群の 1 例で認められ,試験を早期終了することとなった.他の有害事象の発生率と重症度は,エルトロンボパグ群とプラセボ群とで同程度であった.

結 論

慢性肝疾患を有し,待期的侵襲的処置を施行する患者において,エルトロンボパグにより血小板輸血の必要性は低下したが,エルトロンボパグはプラセボよりも高い門脈血栓症の発生率と関連していた.(GlaxoSmithKline 社から研究助成を受けた.ELEVATE ClinicalTrials.gov 番号:NCT00678587)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 716 - 24. )