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March 27, 2014 Vol. 370 No. 13

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米国の複数州における医療関連感染症の点有病率調査
Multistate Point-Prevalence Survey of Health Care–Associated Infections

S.S. Magill and Others

背景

現在,米国のサーベイランスシステムに,急性期患者集団におけるすべての医療関連感染症の負荷を単一で推定することができるものはない.われわれは,急性期病院における医療関連感染症の有病率を明らかにし,全米における医療関連感染症の負荷の最新の推定値を算出するため,地理的に異なる 10 州において有病率調査を行った.

方 法

医療関連感染症は全米医療安全ネットワーク(NHSN)の基準を用いて定義した.参加病院で,無作為に選択した入院患者の 1 日調査を行った.病院の担当者が人口統計学的データと制限された臨床データを収集した.訓練を受けたデータ収集者が診療録を後ろ向きに調査し,調査時に活動性であった医療関連感染症を同定した.患者の年齢と入院期間で層別化した,調査データと 2010 年全米入院患者標本(NIS)データを用いて,2011 年の米国の急性期病院における医療関連感染症の総数と,医療関連感染症による入院患者の総数を推定した.

結 果

調査は 183 病院で行われた.患者 11,282 例のうち,452 例が 1 件以上の医療関連感染症に罹患していた(4.0%,95%信頼区間 3.7~4.4).医療関連感染症 504 件のうち,頻度が高かったのは肺炎(21.8%),手術部位感染(21.8%),消化管感染症(17.1%)であった.Clostridium difficile は報告頻度のもっとも高い病原体であった(医療関連感染症の原因の 12.1%).医療関連感染症予防のためのプログラムで重点的に取り組まれてきたデバイス関連感染症(すなわち中心静脈カテーテル関連血流感染,カテーテル関連尿路感染,人工呼吸器関連肺炎)は,医療関連感染症の 25.6%を占めていた.2011 年の米国の急性期病院では,648,000 例で 721,800 件の医療関連感染症があったと推定された.

結 論

複数州における医療関連感染症の有病率調査の結果により,公衆衛生におけるサーベイランスと予防活動は,引き続き C. difficile 感染を中心に取り組む必要があることが示されている.デバイスや処置に関連する感染症が減少していることから,サーベイランスと予防活動の対象を他の医療関連感染症まで拡大することを検討すべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 1198 - 208. )