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April 10, 2014 Vol. 370 No. 15

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中等度リスクの肺塞栓症患者に対する血栓溶解療法
Fibrinolysis for Patients with Intermediate-Risk Pulmonary Embolism

G. Meyer and Others

背景

中等度リスクの肺塞栓症患者に対する血栓溶解療法の役割については議論がある.

方 法

中等度リスクの肺塞栓症を有する正常血圧の患者を対象とした無作為化二重盲検試験において,テネクテプラーゼ(tenecteplase)+ヘパリンとプラセボ+ヘパリンを比較した.適格患者は,心エコーまたは CT で右室機能不全が認められ,心筋トロポニン I または T 陽性で示される心筋障害を有することとした.主要転帰は,無作為化後 7 日以内の死亡または血行動態の代償不全(または虚脱)とした.主要安全性転帰は,無作為化後 7 日以内の重大な頭蓋外出血と,脳梗塞または出血性脳卒中とした.

結 果

無作為化した 1,006 例のうち,1,005 例を intention-to-treat 解析の対象とした.死亡または血行動態の代償不全は,テネクテプラーゼ群では 506 例中 13 例(2.6%)に生じたのに対し,プラセボ群では 499 例中 28 例(5.6%)に生じた(オッズ比 0.44,95%信頼区間 0.23~0.87,P=0.02).無作為化から 7 日目までに,テネクテプラーゼ群の 6 例(1.2%)と,プラセボ群の 9 例(1.8%)が死亡した(P=0.42).頭蓋外出血は,テネクテプラーゼ群の 32 例(6.3%)と,プラセボ群の 6 例(1.2%)が発症した(P<0.001).脳卒中は,テネクテプラーゼ群の 12 例(2.4%)で発生し,うち 10 例は出血性であった.プラセボ群では 1 例(0.2%)で発生し,出血性であった(P=0.003).30 日目までに,テネクテプラーゼ群の 12 例(2.4%)と,プラセボ群の 16 例(3.2%)が死亡した(P=0.42).

結 論

中等度リスクの肺塞栓症患者に対する血栓溶解療法により,血行動態の代償不全は予防されるが,重大な出血と脳卒中のリスクが増加した.(フランス臨床研究病院プログラムほかから研究助成を受けた.PEITHO EudraCT 番号:2006-005328-18;ClinicalTrials.gov 番号:NCT00639743)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 1402 - 11. )