The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

May 1, 2014 Vol. 370 No. 18

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

安定冠動脈心疾患における虚血性イベントを予防するためのダラプラディブ
Darapladib for Preventing Ischemic Events in Stable Coronary Heart Disease

The STABILITY Investigators

背景

リポ蛋白関連ホスホリパーゼ A2 の活性上昇により,不安定な動脈硬化性プラークの発生が促進される.そしてこの酵素の血漿中濃度の上昇は,冠動脈イベントのリスク上昇に関連する.ダラプラディブ(darapladib)は,リポ蛋白関連ホスホリパーゼ A2 の選択的経口阻害薬である.

方 法

二重盲検試験において,安定冠動脈心疾患患者 15,828 例を,ダラプラディブ(160 mg)1 日 1 回投与群とプラセボ群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,心血管死,心筋梗塞,脳卒中の複合とした.副次的エンドポイントは,主要エンドポイントの各項目と,重大な冠動脈イベント(冠動脈心疾患による死亡,心筋梗塞,心筋虚血に対する緊急冠血行再建),全冠動脈イベント(冠動脈心疾患による死亡,心筋梗塞,不安定狭心症による入院,冠血行再建)などとした.

結 果

追跡期間中央値 3.7 年で,主要エンドポイントはダラプラディブ群 7,924 例中 769 例(9.7%),プラセボ群 7,904 例中 819 例(10.4%)に発生した(ダラプラディブ群のハザード比 0.94,95%信頼区間 [CI] 0.85~1.03,P=0.20).また,主要エンドポイントの各項目の発生率にも全死因死亡率にも群間で有意差は認められなかった.ダラプラディブ群のほうがプラセボ群よりも,重大な冠動脈イベントの発生率(9.3% 対 10.3%,ハザード比 0.90,95% CI 0.82~1.00,P=0.045)と,全冠動脈イベントの発生率(14.6% 対 16.1%,ハザード比 0.91,95% CI 0.84~0.98,P=0.02)が低かった.

結 論

安定冠動脈心疾患の患者において,ダラプラディブ投与による心血管死,心筋梗塞,脳卒中から成る主要複合エンドポイントのリスクに有意な低下は認められなかった.(GlaxoSmithKline 社から研究助成を受けた.STABILITY 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00799903)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 1702 - 11. )