ギニアにおけるコレラ集団発生に対するコレラ菌ワクチンの使用
Use of Vibrio cholerae Vaccine in an Outbreak in Guinea
F.J. Luquero and Others
コレラの予防と制御を目的としたワクチンの使用については現在議論されている.シャンコール(Shanchol)は世界保健機関(WHO)に事前承認された 2 つの経口コレラワクチンのうちの 1 つであるが,その現実条件下における有効性,および接種後数ヵ月間にもたらされる防御効果は依然として不明である.この研究の主要目的は,アフリカのコレラ集団発生に対する総合的対応の一環として行われたシャンコールの 2 回接種の短期有効性を評価することである.
2012 年 5 月 20 日~10 月 19 日に,ギニアで症例と対照をマッチさせた研究を行った.コレラの疑い例を迅速検査によって確認し,症例と同年齢・同性の近隣居住者から対照を選択した.二変量モデルと,補正した条件付きロジスティック回帰モデルを用いて,ワクチン接種のオッズを症例と対照とで比較した.ワクチンの有効性を(1-オッズ比)×100 で算出した.
2012 年 6 月 8 日~10 月 19 日に,主要解析の対象として症例 40 例と対照 160 例を登録した.可能性のある交絡因子で補正すると,2 回のワクチン接種は,コレラに対する有意な防御効果と関連していた(有効性 86.6%,95%信頼区間 56.7~95.8,P=0.001).
この研究において,シャンコールはギニアのコレラ集団発生時の対応に有効であった.この研究により,集団発生に対する対応の一環としてワクチン接種を追加することを支持する根拠が示された.また,この研究はコレラワクチンの緊急使用に向けた備蓄体制を整備するための現行の取組みも支持しており,集団発生の予防と制御戦略が強化されると考えられる.(国境なき医師団から研究助成を受けた.)