皮膚感染症に対する週 1 回のダルババンシン投与と従来の連日治療との比較
Once-Weekly Dalbavancin versus Daily Conventional Therapy for Skin Infection
H.W. Boucher and Others
グラム陽性病原菌に対して活性を有する脂質化グリコペプチド系抗菌薬のダルババンシン(dalbavancin)は,血漿中半減期が長いため,週 1 回の投与で済む.DISCOVER 1 試験と DISCOVER 2 試験は,急性細菌性皮膚・軟部組織感染症の治療薬としてダルババンシンを検討する,同一デザインの非劣性試験である.
患者を,1 日目と 8 日目にダルババンシンを静注する群と,バンコマイシンを最低 3 日間静注し,10~14 日間治療を行うためリネゾリド経口投与への変更も選択可能とする群に無作為に割り付けた.主要評価項目は早期臨床効果とし,48~72 時間の時点で感染に関連する紅斑の拡大が停止し,発熱がないことと定義した.副次的評価項目は,治療終了時の臨床状態,試験責任医師の評価による転帰などとした.
主要評価項目の解析により,DISCOVER 1 と DISCOVER 2 の両試験においてダルババンシンの非劣性が示された.プール解析では,治療成功を示唆する早期臨床効果がダルババンシン群の 659 例中 525 例(79.7%)と,バンコマイシン+リネゾリド群の 653 例中 521 例(79.8%)に認められた(重み付きの差 -0.1 パーセントポイント,95%信頼区間 -4.5~4.2).治療終了時の臨床状態と試験責任医師の評価による転帰は,試験別解析とプール解析で類似していた.メチシリン耐性菌を含む黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に感染した患者については,臨床的成功はダルババンシン投与例の 90.6%,バンコマイシン+リネゾリド投与例の 93.8%に認められた.ダルババンシン群では,バンコマイシン+リネゾリド群と比較して,有害事象の発生数が少なく,試験期間中に有害事象が認められた日数が少なかった.いずれか一方の群で頻度の高かった治療関連有害事象は,悪心,下痢,瘙痒であった.
急性細菌性皮膚・軟部組織感染症に対する治療として,ダルババンシン週 1 回静注は,バンコマイシン 1 日 2 回静注後にリネゾリド経口投与を行う治療と比較して非劣性であった.(Durata Therapeutics 社から研究助成を受けた.DISCOVER 1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01339091,DISCOVER 2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01431339)