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February 6, 2014 Vol. 370 No. 6

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中国におけるトリインフルエンザ A(H7N9)ウイルスのヒト感染の疫学
Epidemiology of Human Infections with Avian Influenza A(H7N9) Virus in China

Q. Li and Others

背景

2013 年 2 月~3 月に,中国でトリインフルエンザ A(H7N9)ウイルスのヒトへの最初の感染例が同定された.われわれは 2013 年 12 月 1 日の時点で同定されていた中国の H7N9 症例の疫学的特性を報告するため,フィールド調査で得られたデータを解析した.

方 法

フィールド調査は H7N9 ウイルス感染の各確定例について行った.リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR),ウイルス分離,または血清学的検査によって H7N9 ウイルスの存在が確認された場合に,その患者を確定例とみなした.確定例の人口統計学的特性,曝露歴,疾患の経過に関する情報を収集した.患者への濃厚接触者は,症状を 7 日間モニタリングした.症状が発現した接触者からは咽頭ぬぐい液を採取して,リアルタイム RT-PCR により H7N9 ウイルスの有無を検査した.

結 果

H7N9 ウイルス感染確定例 139 例の年齢中央値は 61 歳(範囲 2~91),71%が男性,73%が都市部の住民であった.確定例は中国の 12 の地域で認められた.9 例は家禽業に携わっていた.データが得られた 131 例のうち 82%にニワトリを含む生きた動物への曝露歴があった.137 例(99%)が入院し,125 例(90%)が肺炎または呼吸不全を起こし,データが得られた 103 例中 65 例(63%)が集中治療室に入室した.47 例(34%)は罹患期間中央値 21 日で院内で死亡し,88 例が退院し,2 例は重症で入院を継続していた.2 例は入院しなかった.4 つの家族集積例では,H7N9 ウイルスのヒト–ヒト伝播の可能性を否定できなかった.家族内の二次症例を除くと,濃厚接触者 2,675 例がモニタリング期間を終了した.このうち 28 例(1%)に呼吸器症状が発現したが,全例が H7N9 ウイルス陰性であった.

結 論

H7N9 ウイルス感染確定例の大部分は重度の下気道疾患を呈し,疫学的な関連はみられず,家禽への最近の曝露歴を有していた.一方,4 家族では, H7N9 ウイルスの限定的かつ非持続的なヒト–ヒト伝播の可能性を否定できなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 520 - 32. )