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February 20, 2014 Vol. 370 No. 8

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新たに診断された膠芽腫に対するベバシズマブの無作為化試験
A Randomized Trial of Bevacizumab for Newly Diagnosed Glioblastoma

M.R. Gilbert and Others

背景

新たに膠芽腫と診断された患者に対しては,テモゾロミドと放射線療法の同時併用療法後に,テモゾロミドによる維持療法を行うのが標準治療である.抗血管内皮増殖因子 A ヒト化モノクローナル抗体であるベバシズマブは,現在,再発膠芽腫に対する使用が承認されている.新たに膠芽腫と診断された患者の治療にベバシズマブを追加することで,生存期間が延長するかどうかは明らかにされていない.

方 法

無作為化二重盲検プラセボ対照試験において,中央判定で確認された膠芽腫の成人に,放射線療法(60 Gy)とテモゾロミド連日投与を行った.放射線療法の 4 週目にベバシズマブまたはプラセボの投与を開始し,最大 12 サイクル,維持化学療法中も継続した.増悪が認められた時点で,割り付けられた治療を明らかにし,ベバシズマブ療法の開始または継続を可能とした.この試験は,2 つの複合主要エンドポイントである,ベバシズマブの追加による死亡リスクの 25%低下と,増悪または死亡リスクの 30%低下を検出することを目的としてデザインされた.

結 果

978 例が登録され,637 例が無作為化された.全生存期間にはベバシズマブ群とプラセボ群とのあいだで有意差は認められなかった(それぞれ中央値 15.7 ヵ月と 16.1 ヵ月,ベバシズマブ群の死亡のハザード比 1.13).無増悪生存期間はベバシズマブ群のほうが長かった(10.7 ヵ月 対 7.3 ヵ月,増悪または死亡のハザード比 0.79).ベバシズマブ群では,高血圧,血栓塞栓イベント,消化管穿孔,好中球減少の発生率がわずかに上昇した.ベバシズマブ群では,症状の負荷の増大,QOL の低下,神経認知機能の低下の頻度が,経時的に上昇した.

結 論

新たに膠芽腫と診断された患者において,ベバシズマブを第一選択治療として用いても全生存期間は延長しなかった.無増悪生存期間は延長したが,事前に規定した延長目標には到達しなかった.(米国国立がん研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00884741)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 699 - 708. )