February 20, 2014 Vol. 370 No. 8
新たに診断された膠芽腫に対するベバシズマブと放射線療法+テモゾロミドの併用
Bevacizumab plus Radiotherapy–Temozolomide for Newly Diagnosed Glioblastoma
O.L. Chinot and Others
新たに診断された膠芽腫に対する標準治療は,放射線療法+テモゾロミドである.この第 3 相試験では,新たに診断された膠芽腫に対して,放射線療法+テモゾロミドにベバシズマブを追加した場合の効果を評価した.
テント上膠芽腫の患者を,ベバシズマブ静注(10 mg/kg 体重,2 週ごと)群またはプラセボ群に無作為に割り付け,放射線療法(2 Gy を 週 5 日,最大 60 Gy)+経口テモゾロミド(75 mg/m2 体表面積/日)を 6 週間併用した.28 日間治療を中断し,維持療法としてテモゾロミド(150~200 mg/m2/日,5 日間)とベバシズマブ(10 mg/kg 静注,2 週ごと)またはプラセボとの併用を,4 週間を 1 サイクルとして 6 サイクル継続した.その後,単剤療法としてベバシズマブ(15 mg/kg 静注,3 週ごと)またはプラセボ投与を,増悪が認められるか,忍容できない毒性作用が発現するまで行った.複合主要エンドポイントは,主治医の評価による無増悪生存および全生存とした.
458 例がベバシズマブ群に,463 例がプラセボ群に割り付けられた.無増悪生存期間中央値は,ベバシズマブ群のほうがプラセボ群よりも長かった(10.6 ヵ月 対 6.2 ヵ月,増悪または死亡の層別化ハザード比 0.64,95%信頼区間 [CI] 0.55~0.74,P<0.001).無増悪生存に関する利益は,サブグループ全体に認められた.全生存には群間で有意差は認められなかった(死亡の層別化ハザード比 0.88,95% CI 0.76~1.02,P=0.10).全生存率は,1 年の時点でベバシズマブ群 72.4%,プラセボ群 66.3%(P=0.049),2 年の時点でベバシズマブ群 33.9%,プラセボ群 30.1%(P=0.24)であった.ベバシズマブ群では,ベースラインの健康関連 QOL とパフォーマンスステータスがより長期間維持され,グルココルチコイドの必要性がより低かった.ベバシズマブ群ではプラセボ群と比較して,グレード 3 以上の有害事象が発現した患者(66.8% 対 51.3%)と,ベバシズマブと関連していた頻度の高いグレード 3 以上の有害事象が発現した患者(32.5% 対 15.8%)が多かった.
膠芽腫患者において,放射線療法+テモゾロミドにベバシズマブを追加しても,生存期間は延長しなかった.ベバシズマブ群では,無増悪生存期間の延長と,ベースラインの QOL およびパフォーマンスステータスの維持が認められたが,有害事象の発現率はベバシズマブ群のほうがプラセボ群よりも高かった.(F. Hoffmann–La Roche 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00943826)